頑固爺の遺言というもの
2009年5月4日 映画 コメント (1)
「グラン・トリノ」
今や東洋人のみが住むスラムに独り寂しく住む偏屈者で人種差別者の老人ウォルト・コワルスキーは隣に越してきたモン族の家族を当然のように煙たく思っていた。ある日その長男が自分の愛車「グラン・トリノ」を盗みに来るのだった....
俳優、そして監督として暮らしてきたクリント・イーストウッドの集大成。いや、朝鮮戦争を経験し、その後色々な体験を積んで生きてきた人間イーストウッド翁の遺言のような映画であった。
観ながら考えていた。
俺らはこういうジジイが嫌いだったから、押しつけられたくなかったから、もっと自由に生きたかったから、現在のような社会を望んだんじゃなかったのか?
それがどうしてこんなどんよりとした世界になっちまったのか?と。
その答えを彼は持っていたのだ。
強かったアメリカ、悪を問答無用の暴力でなぎ倒してきた「ダーティー・ハリー」、「許されざる者」からスタートし、「マディソン郡の橋」「スペースカウボーイ」で老いの色気を開花させ、「ミスティック・リバー」「ミリオンダラー・ベイビー」で”責任と赦し”問いただし、「硫黄島からの手紙」「父親たちの星条旗」「チェンジリング」で人種と国家についてのテーゼを示したイーストウッドは(おそらく)最後の主演映画で世界中の友人に語るのだ。厳しく汚い言葉で「強くなれ、ビビるんじゃない」と。
継承するのは血でも車でも技術でもない。
心意気とダンディズムだと彼は教えてくれる。
エピローグでタオがグラントリノ譲り受け、海沿いをドライブするシーンで笑いながら泣いた。
男の子の映画である。「チェンジリング」よか数倍良い。最高。
いやーーーーイーストウッドさん、次回作期待してます。
久々のオーバー90の94点
今や東洋人のみが住むスラムに独り寂しく住む偏屈者で人種差別者の老人ウォルト・コワルスキーは隣に越してきたモン族の家族を当然のように煙たく思っていた。ある日その長男が自分の愛車「グラン・トリノ」を盗みに来るのだった....
俳優、そして監督として暮らしてきたクリント・イーストウッドの集大成。いや、朝鮮戦争を経験し、その後色々な体験を積んで生きてきた人間イーストウッド翁の遺言のような映画であった。
観ながら考えていた。
俺らはこういうジジイが嫌いだったから、押しつけられたくなかったから、もっと自由に生きたかったから、現在のような社会を望んだんじゃなかったのか?
それがどうしてこんなどんよりとした世界になっちまったのか?と。
その答えを彼は持っていたのだ。
強かったアメリカ、悪を問答無用の暴力でなぎ倒してきた「ダーティー・ハリー」、「許されざる者」からスタートし、「マディソン郡の橋」「スペースカウボーイ」で老いの色気を開花させ、「ミスティック・リバー」「ミリオンダラー・ベイビー」で”責任と赦し”問いただし、「硫黄島からの手紙」「父親たちの星条旗」「チェンジリング」で人種と国家についてのテーゼを示したイーストウッドは(おそらく)最後の主演映画で世界中の友人に語るのだ。厳しく汚い言葉で「強くなれ、ビビるんじゃない」と。
継承するのは血でも車でも技術でもない。
心意気とダンディズムだと彼は教えてくれる。
エピローグでタオがグラントリノ譲り受け、海沿いをドライブするシーンで笑いながら泣いた。
男の子の映画である。「チェンジリング」よか数倍良い。最高。
いやーーーーイーストウッドさん、次回作期待してます。
久々のオーバー90の94点