重厚ミステリーというもの
「題名のない子守歌」鑑賞

ウクライナ人の掃除婦イレーナは目の前にある高級レジデンスに住むアダケル家を毎日みていた。アダケル家の一人娘テアと仲良くなりたいイレーナはアダケル家の家政婦ジーナに近づくのだった....

「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレの最新作。
はじめにいっとくが、俺はこの監督さんはあんまり好きじゃない。冗長で重厚でいつもかわらないテーマなので途中で飽きるのだ。
今回もそんな期待はしていなかった。

んがしかし、まさかこんなに感動し考えさせられるとは。

人間ドラマという点では「海の上のピアニスト」と同様だが作風は全然違う。どっちかっつーとミステリーの体裁をとっている。しかもその作りが本格的でとっても良い。
始めの疑問が物語の進行とともにどんどん明らかになっていく様やそれによって浮かび上がるイレーナの悲劇がミステリーとしての定石をきちんとおさえている点がすごいのだな。そして後半のどんでん返しと最後のひと転がりでトルナトーレ節が炸裂!

ひとによってはイレーナの行動原理に疑問を投げる人もいるだろう。もしかして嫌悪感を感じる人もいると思う。母性とは?家族とは?夫婦とは? 慈愛か?悲哀か?......映画を観て心に引っかかる”何か”を確認することは人としてとても大切なことだと思う。

一緒に暮らしていく人があるのならその人と是非観てそして話し合ってもらいたい秀作。

81点

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