監督ショーンというもの
2007年10月20日 映画
「プレッジ」鑑賞
刑事ジェリーは、定年退職の日に幼女強盗殺人に遭う。最後の仕事として両親に報告にいくがそこで母親と犯人の逮捕を約束する。その日のうちに容疑者は連行され自白を引き出すが拘置所に移送中容疑者は自殺してしまう....
監督ショーン・ペン、主演ジャック・ニコルソンということでまぁハズレではないだろうとテキトーに借りた一本、それが掘り出しモンだった。
とにかく「シャイニング」からこっち、キチガイ役をやらせたら天下一品のJ・ニコルソンが演じる市井の元刑事が狂っていく様が大変素晴らしい。
またベニチオ・デル・トロをはじめとしたハリウッドきっての名優が勢揃いってのも見どころだが、これはショーン・ペンの地力のおかげ。妻を相手役にもってきたのもそうだろう。しかし驚いたのはキャスティングではない。この物語の進行、つまりディレクターとしてのショーン・ペンの才能に驚いてしまった。
冒頭、部下からの退職旅行にいかず捜査を進めていくあたりから実は狂いの前兆を見せ始めているのだが、被害者家族との「約束」という理由があるのと映画には端折りがあるものだとするミスディレクションのおかげで「納得はするけどなんか尻の座りの悪い映画だな」と不安になってしまう。このストーリーテリングがとても新しい。
また、アメリカ北部の自然描写と優しいスコアを中心とした抑えた演出と観たこともないラストの持ってきかたは、俳優あがりの片手間監督の仕事ではない。とってもセンスがある。正直舌を巻いた。
同じ俳優監督のクリント・イーストウッドは人間の業を深く掘り下げた作品が多く、偶然が人を狂わせることがあるというのをテーマに持ってきたショーン・ペンとは毛色が全然違うが、二人はきっとシンパシーを感じて「ミスティック・リバー」を作ったのかなぁ、なんて観て思った。
面白かったです。
72点
刑事ジェリーは、定年退職の日に幼女強盗殺人に遭う。最後の仕事として両親に報告にいくがそこで母親と犯人の逮捕を約束する。その日のうちに容疑者は連行され自白を引き出すが拘置所に移送中容疑者は自殺してしまう....
監督ショーン・ペン、主演ジャック・ニコルソンということでまぁハズレではないだろうとテキトーに借りた一本、それが掘り出しモンだった。
とにかく「シャイニング」からこっち、キチガイ役をやらせたら天下一品のJ・ニコルソンが演じる市井の元刑事が狂っていく様が大変素晴らしい。
またベニチオ・デル・トロをはじめとしたハリウッドきっての名優が勢揃いってのも見どころだが、これはショーン・ペンの地力のおかげ。妻を相手役にもってきたのもそうだろう。しかし驚いたのはキャスティングではない。この物語の進行、つまりディレクターとしてのショーン・ペンの才能に驚いてしまった。
冒頭、部下からの退職旅行にいかず捜査を進めていくあたりから実は狂いの前兆を見せ始めているのだが、被害者家族との「約束」という理由があるのと映画には端折りがあるものだとするミスディレクションのおかげで「納得はするけどなんか尻の座りの悪い映画だな」と不安になってしまう。このストーリーテリングがとても新しい。
また、アメリカ北部の自然描写と優しいスコアを中心とした抑えた演出と観たこともないラストの持ってきかたは、俳優あがりの片手間監督の仕事ではない。とってもセンスがある。正直舌を巻いた。
同じ俳優監督のクリント・イーストウッドは人間の業を深く掘り下げた作品が多く、偶然が人を狂わせることがあるというのをテーマに持ってきたショーン・ペンとは毛色が全然違うが、二人はきっとシンパシーを感じて「ミスティック・リバー」を作ったのかなぁ、なんて観て思った。
面白かったです。
72点