ヤマアラシとヱヴァというもの
2009年7月22日 映画
「ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:破」
マリの乗るエヴァンゲリオン仮設5号機は北極圏で第3使徒を辛くも旬滅する。時を待たず母親の墓参りからの帰途に第7使徒を目撃、そこに現れたのはエヴァンゲリオン2号機に乗るアスカ・ラングレーだった......
まず前回の「序」でみられた総集編的な作りは影を潜め、新しい「エヴァンゲリオン」を復活させてくれたところが良かった。コンセプトにあるところの”リビルド”をやってのけた点に感心だ。
そしてもう一つ。実はこれが一番大きな変化だが、総監督である庵野秀明に”成長”が見られる点に拍手を贈りたい。
旧エヴァでは自分の殻に閉じこもる少年の苦悩と挫折をベースに精神世界とエンターテイメントの融合を図った戦略は果たして”ヤマアラシ”の温床である”オタク”はもちろんのこと一般メディアも巻き込み一大ブームを起こした。その居心地の悪さからか、自分の思いとは裏腹にエヴァが一人歩きしてしまう危惧からか庵野は旧エヴァの最後に「死ねよオタクども」と吐いて捨てたのだ。
それから14年、抑制や押しつけでは理解されない。ティーチングではなくコーチングが大事である。解り合う為には手を携える....といった今日の教育方針を知ってか知らずか庵野は成長して帰ってきた。自ら唾はいた「エヴァンゲリオン」という作品と登場人物に向き合いもう一度オタクと解り合う為に、だ。
シンジの唐突なキャラクタ変更や新キャラ登場を「ぬるい」と諫める声もあろう、鬱っぽいカラーが払拭され「これはエヴァじゃない」と憤る声もあろう。
しかし、庵野は一貫して言いたかった「みんな幸せになろう」というテーゼを届ける為にはこの新劇場版が必要不可欠なのだな。
ヤマアラシのトゲを溶かすのに必要なのはエヴァではなくヱヴァなのである。
面白かった。
88点
マリの乗るエヴァンゲリオン仮設5号機は北極圏で第3使徒を辛くも旬滅する。時を待たず母親の墓参りからの帰途に第7使徒を目撃、そこに現れたのはエヴァンゲリオン2号機に乗るアスカ・ラングレーだった......
まず前回の「序」でみられた総集編的な作りは影を潜め、新しい「エヴァンゲリオン」を復活させてくれたところが良かった。コンセプトにあるところの”リビルド”をやってのけた点に感心だ。
そしてもう一つ。実はこれが一番大きな変化だが、総監督である庵野秀明に”成長”が見られる点に拍手を贈りたい。
旧エヴァでは自分の殻に閉じこもる少年の苦悩と挫折をベースに精神世界とエンターテイメントの融合を図った戦略は果たして”ヤマアラシ”の温床である”オタク”はもちろんのこと一般メディアも巻き込み一大ブームを起こした。その居心地の悪さからか、自分の思いとは裏腹にエヴァが一人歩きしてしまう危惧からか庵野は旧エヴァの最後に「死ねよオタクども」と吐いて捨てたのだ。
それから14年、抑制や押しつけでは理解されない。ティーチングではなくコーチングが大事である。解り合う為には手を携える....といった今日の教育方針を知ってか知らずか庵野は成長して帰ってきた。自ら唾はいた「エヴァンゲリオン」という作品と登場人物に向き合いもう一度オタクと解り合う為に、だ。
シンジの唐突なキャラクタ変更や新キャラ登場を「ぬるい」と諫める声もあろう、鬱っぽいカラーが払拭され「これはエヴァじゃない」と憤る声もあろう。
しかし、庵野は一貫して言いたかった「みんな幸せになろう」というテーゼを届ける為にはこの新劇場版が必要不可欠なのだな。
ヤマアラシのトゲを溶かすのに必要なのはエヴァではなくヱヴァなのである。
面白かった。
88点