「悪霊島」鑑賞

瀬戸内海に浮かぶ小島”獄門島”。金田一耕助は友人のかわりに島の大網元、本鬼頭の千万太の遺言をもってあがった。時を同じくして分鬼頭のひとしの復員の知らせと戦争で没収されていた釣り鐘が帰ってきた。この偶然があの忌まわしくも哀しい殺人事件の引き金になるのだった......

市川崑監督&石坂浩二主演による旧金田一耕助シリーズは全部で5部作。

「犬神家の一族」昭和51年10月公開
「悪魔の手毬唄」昭和52年4月公開
「獄門島」昭和52年8月公開
「女王蜂」昭和53年2月公開
「病院坂の首縊りの家」昭和54年5月公開

こんなテレビドラマ並みにチャカチャカ作って(しかもその途中に珍作”実写版火の鳥”挟みながら(笑))そのどれもハイクオリティな出来だというのが素晴らしい。
美しい女優さん、重厚で奥行きのある映像、大胆なカッティング、犯人捜しよりも犯人の動機や生い立ちの哀しさに重きを置いた脚本、豪華キャスト、鈍器で殴られようが首を絞められようが「うっ!」と目をかっ開いて口角からひと筋血を垂らさないといけないという縛り(笑)....
市川崑がどんな人物でどういう映画を作ってきたかがこれを観たらわかろうというもんである。

で「獄門島」だが、佐分利信・東野英治郎・草笛光子の凄い演技に注目だ。特に東野は当時既に水戸黄門のテレビシリーズが始まってたが元々悪役出身なんで喜々として嘉右衛門爺を演じている。また司葉子・大原麗子・太地喜和子のきれいどころにも注目だ。岸恵子には劣るが司もいやいや、お美しくてらっしゃる。キャー∩(´∀`∩) まぁ俺は坂口良子のほうが良いけどな。
その他、荻野目慶子が子役で、ピーターが男の子の役で(笑)、三谷昇がほんとチョイ役で、寺の坊主役でシャアが出てる。

このシリーズが何度観ても飽きないのは前述のとおり、犯人がなぜ犯行に至ったのかに重点を置いたヒューマンドラマであるからだ。今では薄れてきた家族や家主義といった古い風習が個人を縛ってた時代の悲恋というのが主軸にある、これが観る者の心をキュンとさせるのだな。
「獄門島」はいつもの近親相姦ものに「砂の器」テイストをふりかけた感じに仕上がってるが途中のまんまパクったあの描写はどうかと思う。

まぁ気になったのはそれだけかな。
また金曜ロードショーとかで観てみたいのだが、「悪霊島」と同様に進行上外せない大事な台詞が大人の事情でどーしてもコードに引っかかってしまうので金輪際地上波での放送はないだろう。
是非dvdを借りてみていただきたい。

69点

「悪魔の手毬唄」と「病院坂の首縊りの家」について
http://diarynote.jp/d/38325/20060423.html
「悪霊島」について
http://diarynote.jp/d/38325/20050507

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