「ラ・ラ・ランド」はももクロである
最早特別でもないCGとデジタル撮影が確立され大きな金や手間をかけずとも”それなり”の映画を作れるようになった。おかげで、第三国の才能あるスタッフが作品を発表しやすいようになり、それがインディペンデント、メジャー係わらず青田買いされて結果としてダメ映画やクソ映画が相対的に減った昨今、「まぁ及第点だよね」という映画が数多く生まれた。
面白くないワケではない。むしろ面白いんですよ、「ローグ・ワン」も「君の名は」も「スノーデン」も。

でもなんか観てて腹に入っていかない感?つーかもやもや感?がここ最近ずっとあったのだった。「ラ・ラ・ランド」を観るまでは。

この映画、オープニング高速道路のシークエンスこそ感心するものの、主演のライアン・ゴズリングとエマ・ストーンのダンス等々、ミュージカル映画としての演技がイマイチで、時々「ん?」となる場面も多い。「シカゴ」に比べたら2ランクくらい落ちる。(笑)
ストーリーも実は一本調子といえばそうで余計なヒネリは一切ない。

でも俺はとても腹の底から満足し、パンフまで買った。そこに書いてあった事を読み、満足の理由と前述のモヤモヤ感の正体がわかったのだ。

この映画35mmのアナログフィルムを使っての一発取りとCGを極力排する画作りをしたらしい。
つまり「ロングで撮ってあとから切り取ってCGで演出すりゃいーや」的な現代撮影方法ではなく、昔ながらの「カット割ってカメラ位置決めて、照明きめて、露出測って、マイクセットして、小道具用意して、カチンコ、アクション!」つーやり方をしてるのだ。
これのせいで演者の臨場感が全然違う。エマ・ストーンなんか「スパイダーマン」の時パッとしなかったのに、なに?あの演技!!
実際失敗してるカットもあって、予告編にあるからわかるがライアン・ゴズリングのピアノは最後の音外してるし、本編ではそういう危ういカットが散見される。
取り直してもよかったのだろうが監督はそうしなかった。
これはある意味演者の限界だったのかもしれないし、リアルを追求したからかもしれない。
そこがすごくよかった。
画像の有名なシーンも空の色とかCG使ってないらしい。生ロサンゼルス。
これがフィルムになると色味が絶妙で深度が深くてもう幻想的で素晴らしく映るのだ。

所詮映画なんか作り物。フィクションにどれだけリアルをみせるか?観客に刺さるモノを作るか?
このあたりのコンセプトがアイドル戦国時代を一途に真面目に日和らず媚びず進み、今や孤高の存在となったももクロと似てる気がした。
デイミアン・チャゼル監督はホント「映画」を作るのが上手い。若い監督なのでどんどん好きなことして面白い映画を作ってね。

あ、内容的にはですね、若い時、青春感動モノ映画を斜に構えて毛嫌いしてたのが、アラフォーになって涙流して観られるようになり、それと同じように、アラフィフになってしまったので、二十代の恋愛映画が素直に胸に入ってきたので満足です(笑)
エンディングも良いなぁ
まぁ年を取ったということでしょうが、なんか許せるモノが増えてくるのはきっと悪い事じゃない。
この映画と同様人生はプラマイ0なんですな。
きっとそういうことだと思う。

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