バートンの新作というもの
2008年1月21日 映画
「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」観賞
無実の罪に陥れられ牢獄された理髪師パーカーは脱獄し愛する妻の元に向かうが傷心の妻は自殺していた。怒った彼は名をスウィーニー・トッドと改め、かつての仕事道具カミソリを手にし、自分を陥れた者に復習を誓うのだった...
ティム・バートン&ジョニー・デップという定番コンビが送るミュージカル。という点では「チャーリーとチョコレート工場」や「コープスブライド」系になるが両作品に比べて原作がそうだからかミュージカル度数が高い。あと、テイストはどちらかというと「バットマン」に近い。
美術的にはバートン原点回帰ともいうべき圧倒的な造りこみが良い意味でゴチャゴチャしてる。パッと観ただけで「あ、ティム・バートンの作品だな」とわかるくらいすごい。
また"人を呪わば穴二つ"といった古典的な復讐譚を模したストーリーも良い。
そして言わずもがなだが、デップや内縁の妻ヘレナ・ボナム・カーターの両エースの演技も見事である。
しかしだ
だからといって映画として成功してるとは言えないのがまた映画の怖さである。
原因は主に3つ
第一にこの作品、ミュージカルである必要がない。
原作がミュージカルだからといって映画もミュージカルである必要はない。「ビッグ・フィッシュ」と言わないまでも、二人にきっちりと演技させていれば、また人物描写にもうちょっと時間を割いて丁寧に作っていれば感想はまた違ったところにあっただろう。ミュージカルってのは前後をサラッと流してクライマックスにガーーンと歌って踊るじゃない?そういうミュージカルシークエンスのおかげで端折った部分が多く随分と大味な作品になってしまった。
第二にスプラッタ描写のどぎつさだ。
グロでブラックで奇形はバートンの持ち味だし前述のセットの作り込みのおかげで目立たなくなってるというものの、サクサク切ってピューピュー血を流せばR指定もつくってもんである。しかもそうまでして使った特撮が物語全体に不快以外のなんの効果も与えてない点がなんだかなぁ。ミートパイのクダリはバートンらしくて良かったけどね。
第三にらしくないラスト
ネタバレになるので詳しくは書かないが、バッドエンドの中にも優しさがあるのがバートン作品だと思うのだが今作は余韻がないエンドで体を成してない。
以上を鑑みるに前評判の割りにはたいしたこと無いなぁってのが率直な感想である。
しかしそれは俺がこのミュージカルを観てないからだと思う。欧米では比較的有名な話らしいし映画化も初めてではないので見る人がみれば納得の進行なのかもしれん。俺にはわからんが。まぁ絵づらだけはバートンワールドを堪能できるってとこだな。
ちゅか、それってワーナーの売り方が悪いんじゃねぇの?「チャーリーと...」のときもうっすら感じたけど。
まぁ今回はハズレということになるが、デップ目当ての若いお嬢さんが苦虫をかみつぶしたような顔で劇場を後にするところは実に爽快だった(笑)。
55点
無実の罪に陥れられ牢獄された理髪師パーカーは脱獄し愛する妻の元に向かうが傷心の妻は自殺していた。怒った彼は名をスウィーニー・トッドと改め、かつての仕事道具カミソリを手にし、自分を陥れた者に復習を誓うのだった...
ティム・バートン&ジョニー・デップという定番コンビが送るミュージカル。という点では「チャーリーとチョコレート工場」や「コープスブライド」系になるが両作品に比べて原作がそうだからかミュージカル度数が高い。あと、テイストはどちらかというと「バットマン」に近い。
美術的にはバートン原点回帰ともいうべき圧倒的な造りこみが良い意味でゴチャゴチャしてる。パッと観ただけで「あ、ティム・バートンの作品だな」とわかるくらいすごい。
また"人を呪わば穴二つ"といった古典的な復讐譚を模したストーリーも良い。
そして言わずもがなだが、デップや内縁の妻ヘレナ・ボナム・カーターの両エースの演技も見事である。
しかしだ
だからといって映画として成功してるとは言えないのがまた映画の怖さである。
原因は主に3つ
第一にこの作品、ミュージカルである必要がない。
原作がミュージカルだからといって映画もミュージカルである必要はない。「ビッグ・フィッシュ」と言わないまでも、二人にきっちりと演技させていれば、また人物描写にもうちょっと時間を割いて丁寧に作っていれば感想はまた違ったところにあっただろう。ミュージカルってのは前後をサラッと流してクライマックスにガーーンと歌って踊るじゃない?そういうミュージカルシークエンスのおかげで端折った部分が多く随分と大味な作品になってしまった。
第二にスプラッタ描写のどぎつさだ。
グロでブラックで奇形はバートンの持ち味だし前述のセットの作り込みのおかげで目立たなくなってるというものの、サクサク切ってピューピュー血を流せばR指定もつくってもんである。しかもそうまでして使った特撮が物語全体に不快以外のなんの効果も与えてない点がなんだかなぁ。ミートパイのクダリはバートンらしくて良かったけどね。
第三にらしくないラスト
ネタバレになるので詳しくは書かないが、バッドエンドの中にも優しさがあるのがバートン作品だと思うのだが今作は余韻がないエンドで体を成してない。
以上を鑑みるに前評判の割りにはたいしたこと無いなぁってのが率直な感想である。
しかしそれは俺がこのミュージカルを観てないからだと思う。欧米では比較的有名な話らしいし映画化も初めてではないので見る人がみれば納得の進行なのかもしれん。俺にはわからんが。まぁ絵づらだけはバートンワールドを堪能できるってとこだな。
ちゅか、それってワーナーの売り方が悪いんじゃねぇの?「チャーリーと...」のときもうっすら感じたけど。
まぁ今回はハズレということになるが、デップ目当ての若いお嬢さんが苦虫をかみつぶしたような顔で劇場を後にするところは実に爽快だった(笑)。
55点