ポスト山田洋次というもの
2008年1月28日 映画 コメント (2)
今から20年以上前、ちょうど高校の体育館の落成式があって記念式典と共に地元出身落語家の興行があった。
その落語家は当時まだ二つ目だった上に師匠が落語協会を脱退してたので寄席にも出れず、当然テレビにも出演してなかったので、当時高校生の俺は「実はあの人ハマちゃんちの近所の竹内さんなんやって!」と言われても全然わからなかったし話題にもなってなかった。
しかしそんな駆け出し小僧の前座に当時既に飛ぶ鳥を落とす勢いだった小朝が座ったのである。真打ちが二つ目の前座を務めるという信じられない演出は若いもんに錦を飾らせてやろうとした小朝の粋な計らいだったのだろうが、もしかしたらこの二つ目の底力を見抜いていたのかもしれない。
初めて聞いたその二つ目の落語は方言を巧みに使いつつ感情を表に出した師匠とは全然違う(笑)劇場型落語だったように記憶している。
二つ目の名は立川志の輔。
その後の彼の活躍はご承知の通りである。テレビの仕事はもちろん落語の仕事も積極的に取り組んでおられ、地元にも年に十数回は帰ってきて寄席を開いている。
そんな師匠の新作落語「歓喜の歌」が映画になった。
あらすじ
みたま町の文化会館に勤める飯塚が予約確認の電話を受ける。いつものように適当に対応するものの、それが「みたま町コーラスガールズ」と「みたまレディースコーラス」を取り違えたダブルブッキングになってることを知るのだった.....
原作が落語なだけあって映画は「有頂天ホテル」系のシチュエーションコメディの体である。シーンを少なくしキャラクターの個性を際立たせ、予定調和を上手に転がし、題名を見て想像したとおりストンと落として幕。というともすれば在り来たりのストーリーを監督松岡錠司は登場人物を増やすことで群像劇という深みを持たせる手法に出た。一歩間違えれば三谷幸喜の出来損ないになるが、この監督を李鳳宇&河合洋というシネカノン最強布陣が下支えしたおかげで一級のコメディになった。
ダメ中年を演じれば右に出るものがいない小林薫を筆頭に若手実力派伊藤淳史、祝復活安田成美、歌も上手いよ由紀さおりという主要メンバーだけでなく藤田弓子、光石研、笹野高史や片桐はいりまで、すわっ!談志師匠にリリーさんも!(笑)
こんな豪華なキャスティングは他の作品ではありえない。こんなコネを使えるのもシネカノンの力だと思う。その配役がまたイチイチハマってるところも良い。
シネカノン代表の李鳳宇が志の輔らくごに惚れ込みオファーしただけのことはあって原作を壊してないのも良い。
志の輔師匠の落語は人情話が多いがそのカラーがシネカノンに合ってるんだろうな。
ベタベタの作品である。
でも良いものは良い。山田洋次が年老いた今、後を継ぐのはシネカノン組だと思う。
80点
その落語家は当時まだ二つ目だった上に師匠が落語協会を脱退してたので寄席にも出れず、当然テレビにも出演してなかったので、当時高校生の俺は「実はあの人ハマちゃんちの近所の竹内さんなんやって!」と言われても全然わからなかったし話題にもなってなかった。
しかしそんな駆け出し小僧の前座に当時既に飛ぶ鳥を落とす勢いだった小朝が座ったのである。真打ちが二つ目の前座を務めるという信じられない演出は若いもんに錦を飾らせてやろうとした小朝の粋な計らいだったのだろうが、もしかしたらこの二つ目の底力を見抜いていたのかもしれない。
初めて聞いたその二つ目の落語は方言を巧みに使いつつ感情を表に出した師匠とは全然違う(笑)劇場型落語だったように記憶している。
二つ目の名は立川志の輔。
その後の彼の活躍はご承知の通りである。テレビの仕事はもちろん落語の仕事も積極的に取り組んでおられ、地元にも年に十数回は帰ってきて寄席を開いている。
そんな師匠の新作落語「歓喜の歌」が映画になった。
あらすじ
みたま町の文化会館に勤める飯塚が予約確認の電話を受ける。いつものように適当に対応するものの、それが「みたま町コーラスガールズ」と「みたまレディースコーラス」を取り違えたダブルブッキングになってることを知るのだった.....
原作が落語なだけあって映画は「有頂天ホテル」系のシチュエーションコメディの体である。シーンを少なくしキャラクターの個性を際立たせ、予定調和を上手に転がし、題名を見て想像したとおりストンと落として幕。というともすれば在り来たりのストーリーを監督松岡錠司は登場人物を増やすことで群像劇という深みを持たせる手法に出た。一歩間違えれば三谷幸喜の出来損ないになるが、この監督を李鳳宇&河合洋というシネカノン最強布陣が下支えしたおかげで一級のコメディになった。
ダメ中年を演じれば右に出るものがいない小林薫を筆頭に若手実力派伊藤淳史、祝復活安田成美、歌も上手いよ由紀さおりという主要メンバーだけでなく藤田弓子、光石研、笹野高史や片桐はいりまで、すわっ!談志師匠にリリーさんも!(笑)
こんな豪華なキャスティングは他の作品ではありえない。こんなコネを使えるのもシネカノンの力だと思う。その配役がまたイチイチハマってるところも良い。
シネカノン代表の李鳳宇が志の輔らくごに惚れ込みオファーしただけのことはあって原作を壊してないのも良い。
志の輔師匠の落語は人情話が多いがそのカラーがシネカノンに合ってるんだろうな。
ベタベタの作品である。
でも良いものは良い。山田洋次が年老いた今、後を継ぐのはシネカノン組だと思う。
80点