新鮮・元気というもの
2007年4月23日 映画 コメント (2)
「キトキト!」鑑賞
キトキトとは富山県の方言で新鮮とか元気という意味。
早くに夫を亡くし、女手ひとつで2人の子どもを育て上げた智子は近所では「スーパー智子ちゃん」と呼ばれる肝っ玉母ちゃん。だけど娘の美咲は3年前に男と駆け落ちして家を出てしまうし息子の優介も3人だけの暴走族に入ってる不良少年。そんな中、祐介は田舎を逃げ出すように友人の眞人と東京に行くのだった.....
ようやく、俺の映画に出会えた。
そんな感じの切なくてベタで優しくて強い珠玉の作品。
大竹しのぶと伊藤歩という俺のお気に入りの女優さんが出てるとはいえ予算の少ないシネカノン作品、その上ご当地映画ときた日にゃー「8月のクリスマス」みたいな失敗作じゃなきゃ良いなぁと思ってみたら....いやぁ、泣いた。バカみたいに号泣した。(笑)
ふとしたときに垣間見る女性的な部分を持つチャキチャキなお母さんって役どころは大竹しのぶのキャラではない。どちらかっつーと吹風ジュンか倍賞千恵子が得意とするキャラクターだ。大竹しのぶには母性が足らないんじゃないか?と思ってたら、あなた!これがとってもお母さんしてるではないか!さすが天才女優、本領発揮である。はっきりいって「キトキト!」は彼女がいなければ成立しなかったといえるだろう。
また、本作が初監督となる吉田康弘はなんら奇をてらうことなく”普通の映画”としてこの作品を撮った。実はこの”普通”というのが最近は滅多にみられないのだ。
ベタを嫌って強引な展開に持って行ったり音楽やCGといった編集で誤魔化したりなんとか特徴を出そうとする。いや、それは間違っちゃいないのかもしれないが、こういうベタを素直に世に問う潔さが逆に新鮮に感じられた。
そしてベタだからこそ浮き上がるキャスト陣の素晴らしさがあるのだ。
伊藤歩の都会的優しさも井川比左志の土着の厭らしさも石田くんが結局地元を忘れられなかった理由みたいなもんも、全てが優しい作品。
終盤、光石研がうなだれながらスナックにいる様と輪ゴムのエピソードは、本年度俺アカデミー最高シーン賞受賞である。
方言においても数あるドラマや映画の中でも屈指の出来。ほぼネイティブに近い。「だら!(←バカの意)」のイントネーションは他所の人には難しいのだが大竹さんは見事に発音している。
唯一気になったのが高岡を実際以上に田舎と誤解されるかもしれない点か。
いや、それなりになんでもあるんですよ?18万人都市だし。(^_^;)
「8月のクリスマス」に継ぐご当地映画だから点数が甘くなるのは御容赦いただきたいがとりあえず本年度最優秀候補作品。「フラガール」といい「キトキト!」といい...シネカノン!!もう俺はお前についてく!!
公開劇場は少ないと思いますがお近くで上映されるなら是非どうぞ。
「キトキト!」HP
http://www.kitokito-movie.com/
97点
キトキトとは富山県の方言で新鮮とか元気という意味。
早くに夫を亡くし、女手ひとつで2人の子どもを育て上げた智子は近所では「スーパー智子ちゃん」と呼ばれる肝っ玉母ちゃん。だけど娘の美咲は3年前に男と駆け落ちして家を出てしまうし息子の優介も3人だけの暴走族に入ってる不良少年。そんな中、祐介は田舎を逃げ出すように友人の眞人と東京に行くのだった.....
ようやく、俺の映画に出会えた。
そんな感じの切なくてベタで優しくて強い珠玉の作品。
大竹しのぶと伊藤歩という俺のお気に入りの女優さんが出てるとはいえ予算の少ないシネカノン作品、その上ご当地映画ときた日にゃー「8月のクリスマス」みたいな失敗作じゃなきゃ良いなぁと思ってみたら....いやぁ、泣いた。バカみたいに号泣した。(笑)
ふとしたときに垣間見る女性的な部分を持つチャキチャキなお母さんって役どころは大竹しのぶのキャラではない。どちらかっつーと吹風ジュンか倍賞千恵子が得意とするキャラクターだ。大竹しのぶには母性が足らないんじゃないか?と思ってたら、あなた!これがとってもお母さんしてるではないか!さすが天才女優、本領発揮である。はっきりいって「キトキト!」は彼女がいなければ成立しなかったといえるだろう。
また、本作が初監督となる吉田康弘はなんら奇をてらうことなく”普通の映画”としてこの作品を撮った。実はこの”普通”というのが最近は滅多にみられないのだ。
ベタを嫌って強引な展開に持って行ったり音楽やCGといった編集で誤魔化したりなんとか特徴を出そうとする。いや、それは間違っちゃいないのかもしれないが、こういうベタを素直に世に問う潔さが逆に新鮮に感じられた。
そしてベタだからこそ浮き上がるキャスト陣の素晴らしさがあるのだ。
伊藤歩の都会的優しさも井川比左志の土着の厭らしさも石田くんが結局地元を忘れられなかった理由みたいなもんも、全てが優しい作品。
終盤、光石研がうなだれながらスナックにいる様と輪ゴムのエピソードは、本年度俺アカデミー最高シーン賞受賞である。
方言においても数あるドラマや映画の中でも屈指の出来。ほぼネイティブに近い。「だら!(←バカの意)」のイントネーションは他所の人には難しいのだが大竹さんは見事に発音している。
唯一気になったのが高岡を実際以上に田舎と誤解されるかもしれない点か。
いや、それなりになんでもあるんですよ?18万人都市だし。(^_^;)
「8月のクリスマス」に継ぐご当地映画だから点数が甘くなるのは御容赦いただきたいがとりあえず本年度最優秀候補作品。「フラガール」といい「キトキト!」といい...シネカノン!!もう俺はお前についてく!!
公開劇場は少ないと思いますがお近くで上映されるなら是非どうぞ。
「キトキト!」HP
http://www.kitokito-movie.com/
97点