「ロッキー・ザ・ファイナル」鑑賞

偉大なるチャンプ、ロッキー・バルモアは引退した今でも人気者。街を歩けばサインを求められ、経営するイタメシ屋は大盛況だ。しかし02年に死去したエイドリアンのことが忘れられず独りもがくのだった.....
 

不覚にも感動、ロッキーってこんな話だったのか!と頭を殴られたような衝撃があった。
敬愛され社会的にも成功したにもかかわらず過去に引きずられる元チャンプ。
若くて強すぎる故にプロモーターに踊らされ、誰にも尊敬されない現チャンプ。
そしてボクシングの才能を受け継がず産まれたために、偉大な父の影に押しつぶされもがく元チャンプの息子.....
この3人の男のアイデンティティーのぶつかり合いを描く今作は過去5作までのクソ続編を帳消しにするくらいの出来と断言しよう。

「ロッキー」といえば本物のテレビ中継っぽいボクシングシーンが有名だが、クライマックスにあるエキシビジョンマッチの壮絶な打ち合いは全体の1/5程度。残りは3人の男の心情を丁寧に描く。すでにどういう展開になるかわかってる我々にとってこの”溜め”がもの凄く重要なのだな。
途中で挟まれるビルコンティのテーマソングと冷蔵庫での肉パンチやボールやバーベルを使ったトレーニング、もっとも有名なフィラデルフィアミュージアムの階段駆け上がる様は鳥肌モノ。
ミュージアムのシーンはエンドロールでも使われており、老若男女がロッキーを模して階段を駆け上がり雄叫びをあげるところが映し出される。これを見ると「ロッキー」ってのはいかに息の長い作品だったのか、ということとボクシングはアメリカの競技なんだなぁということを実感させられる。

キャストも良い。
齢60を越えるスタローンの老けっぷりは10年前のイーストウッドを彷彿とさせ、「枯れ際の色気」満載。俺が女だったら抱かれてもいい(笑)
エイドリアンの兄、ポーリー役のバート・ヤングも健在、良いカンジのジジィになった。あのよぼよぼ顔で「過去は戻らないんだ!」と言われるともの凄く説得力がある。

とりあえず1から5までを観てから鑑賞するように。2から先ははっきりいってつまらないと思うが、このつまらなさこそ”溜め”であり、溜めがあるからこそ「ファイナル」が光るのだから。

30年間のロッキー集大成を観よ!

90点
 
※いや、もうここらで止めておけよ?(笑)

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