世の中にはとっても奇抜な格好をして町中を闊歩したり、予想の斜め上をいく行動をして周りの人をビックリさせる人がいる。まぁ「かわりもん」と呼ばれる類の方々だ。
そういった人たちの多くはアスペルガー症候群や注意欠陥・多動性障害という名称の自閉症である場合が多い。
これらの障害は知的障害を伴わない発達障害に分類されるが、パッと見健常者と区別が付かないことが特徴である。
その弊害として随分と長い間福祉行政に取り残され社会的認知が高められなかったり、そして「ヘンな奴」と周りに誤解・排他されることによる二次的被害(放棄や虐待による学習遅滞や社会的学習の欠落などやうつ病を招く要因)が多くあった。

自閉症についてはウィキで調べればわかるのでここでは割愛するが、ひとことで言うとインプット・アウトプットが人とは違うということになる。
わかりやすい症例としては話をしてて素っ頓狂な受け答えをしたり、テストを受けると教科によってとんでもない点数のばらつきがあったり、どーでもいいことにミョーなこだわりがあるといった傾向がある。

自閉症はのめり込みやすいので研究者に向いてるという話もあるし、素っ頓狂な受け答えがテレビ受けするので芸人になってる人も多い。鳥居みゆきやウドちゃんはアスペだろう。
もっともそういう人は障害者の中でもエリートであり、自閉症者のほとんどは(健常者の全てがメジャーリーガーになれないように)普通の自閉症者(?)として生きていかねばならんのだが、近年になって認知されてきた障害であることと、一見健常者と見分けが付きにくいことで、本人たちはとても苦労して生活している。特に最近はコミュニケーション能力重視の世の中なので、アスペの子達には随分と生きにくいだろうと思う。

以前まで自閉症者が犯罪を犯した場合、新聞で障害のことまで書かれてあった。そのせいで自閉症=なに考えてるかわからない→社会不適応者で犯罪者予備軍という誤解が蔓延したが、それは社会が自閉症者を排他した為の二次的なもので、自閉症自体に善悪はないということを健常者は認識せねばならんだろう。

さて、認識する為には知る必要がある。
枕が長くなったがそんな自閉のアナザーワールドを垣間見ることが出来る本がこれだ。
まるで外国人や宇宙人と会話しているような興味深い話が満載で、自閉症者の行動原理が「あ、そういうことなのね」ととてもよくわかる本になっている。
それと同時に己自身も「あ、わかる気がする」と共感できる部分があることに驚くだろう。健常者と自閉症者との境界はとても曖昧なものなのだ。

興味本位でかまわない。
読むことで貴方が、嫌ったり、恐れたり、蔑んだり、同情したりしていた自閉症者への見方がかわるはず。そしてそれは自分自身の人間性を豊かにすることにつながるのである。

最後に精神的に疲れてる人やうつっぽい人にもオススメする。
アンテナの感度が悪くて落ち込んだときの処世術のヒントがそこにあるから。

いやぁ面白かった。

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