午後6時、越後湯沢行きの特急電車

ゴミ箱の中のファックスを確認して、居ても立ってもいられず車をまわす。
「なぜ?」 「今更...」 「でも...」
頭がぐちゃぐちゃになり、それでもなお、アクセルを踏む。

駐禁エリアに構わず車を突っ込みホームに駆け上がる。そこは煌びやかに着飾った人の群れがあり、中心にいつもより綺麗なお前がいた。
おろしたてのスーツにレイをかけられた幸せそうな男と手をつないで。

それを見て身体の暴走がようやく収まる。
ホッとして踵を返す。
格好悪い自分を見せたくないという意地と自信の無さ
歩きながらちょっと可笑しくなる。
あぁそんなもんだ、俺らしくていいじゃないか。

お前からもらったキーホルダーを弄りながらエンジンをかける。
ウインドウのうっすらとした黄砂で視界がぼやける。

おめでとうも言えないのか、意気地なしめ。

 
突っ伏したハンドルから無理矢理身体を起こし、ワイパーを作動させる。
スパッと視界が鮮明になる。
街はもう夜の顔になっていた。

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今も尚 ベルト通しに ぶら下がる
 君のかけらは あの日の思い出

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