周星馳のマジ映画というもの
2005年1月6日 映画
21世紀を代表する本格的な娯楽映画を作り、世界的に成功させたチャウ・シンチーが満を持して世に問うカンフー映画。
「カンフー・ハッスル」だぞ?タイトルに「カンフー」と堂々と謳ってるんだぞ?
斜に構えたスタンスでいつもバカ映画を作ってきた(エッセンスは「カンフー」だけれども)チャウ・シンチーの本気が伺えるってもんじゃないか。
彼はこの映画を作りたくって作りたくってしょうがなかったのだ。
なにをやってもダメなチンピラ、シンは食っていくために悪になろうと決意する。とりあえず一仕事しようと「豚小屋砦」に向かい広域暴力団「斧頭会」を名乗り悪事を働こうとしたが、そこに住む人々はかつてカンフーの達人として名を馳せた面々だったからさあ大変。シンも斧頭会のチンピラもボコボコにした達人たちであったが、斧頭会のボスが黙っていなかった。次々と刺客を送り込む。
豚小屋砦住民の必死の抵抗の中、「悪こそ我の目指す道」と思ってたシンの中で何かが目覚めるのだった......
チャウ・シンチーの映画がいくら面白くても彼はハリウッドスターにはなれない。それは彼の映画が香港映画だからである。安っぽくて下品で低俗でいい加減なコメディと京劇の要素を用いたミュージカル、それが香港映画だ。
身体を張ったアクションだけじゃない。たとえばジャッキー・チェンを見ればよくわかる。ハリウッドに進出してからの彼の演技と映画には陽気さと派手さはかわらないものの、無駄な贅肉がつきすぎて香港色が薄くなってしまった。
しかしチャウ・シンチーは違う。彼はくだらなくて馬鹿馬鹿しい香港映画が大好きで、総じてそういうバカ映画を製作・演出・出演してきた。そしてこれからも作っていくだろう。今回、コロンビアの資本が入っているにもかかわらずこのクダラナサのクオリティを保ってることからみても、チャウ・シンチーが明確にハリウッド製映画と線引きしたことがうかがえる。
くわえて彼はこの映画でブルース・リー(もしくはそれ以前)から脈々と続くカンフーアクションスターへの敬愛と慈しみに満ちた演出を施した。
物語のシークエンスは古典的な香港映画そのものだし、出演する俳優や武術指導にも70年代からのカンフー映画を作ってきたアクションスターを使っている。
カメオ出演じゃないぞ、往年のスターがスクリーンのど真ん中で型を決めるのだ。
「少林サッカー」ほどわかりやすくはない。
会場でゲラゲラ笑う小学生の声を聞いてる中、グッときてしまった。
「ありえねーー」を楽しむも良し、往年の香港映画に感涙するも良し。正月早々すばらしい映画を観られたことを有り難く思う。
こんな映画が作られるうちは中国はまだまだ大丈夫だ。
90点
「カンフー・ハッスル」だぞ?タイトルに「カンフー」と堂々と謳ってるんだぞ?
斜に構えたスタンスでいつもバカ映画を作ってきた(エッセンスは「カンフー」だけれども)チャウ・シンチーの本気が伺えるってもんじゃないか。
彼はこの映画を作りたくって作りたくってしょうがなかったのだ。
なにをやってもダメなチンピラ、シンは食っていくために悪になろうと決意する。とりあえず一仕事しようと「豚小屋砦」に向かい広域暴力団「斧頭会」を名乗り悪事を働こうとしたが、そこに住む人々はかつてカンフーの達人として名を馳せた面々だったからさあ大変。シンも斧頭会のチンピラもボコボコにした達人たちであったが、斧頭会のボスが黙っていなかった。次々と刺客を送り込む。
豚小屋砦住民の必死の抵抗の中、「悪こそ我の目指す道」と思ってたシンの中で何かが目覚めるのだった......
チャウ・シンチーの映画がいくら面白くても彼はハリウッドスターにはなれない。それは彼の映画が香港映画だからである。安っぽくて下品で低俗でいい加減なコメディと京劇の要素を用いたミュージカル、それが香港映画だ。
身体を張ったアクションだけじゃない。たとえばジャッキー・チェンを見ればよくわかる。ハリウッドに進出してからの彼の演技と映画には陽気さと派手さはかわらないものの、無駄な贅肉がつきすぎて香港色が薄くなってしまった。
しかしチャウ・シンチーは違う。彼はくだらなくて馬鹿馬鹿しい香港映画が大好きで、総じてそういうバカ映画を製作・演出・出演してきた。そしてこれからも作っていくだろう。今回、コロンビアの資本が入っているにもかかわらずこのクダラナサのクオリティを保ってることからみても、チャウ・シンチーが明確にハリウッド製映画と線引きしたことがうかがえる。
くわえて彼はこの映画でブルース・リー(もしくはそれ以前)から脈々と続くカンフーアクションスターへの敬愛と慈しみに満ちた演出を施した。
物語のシークエンスは古典的な香港映画そのものだし、出演する俳優や武術指導にも70年代からのカンフー映画を作ってきたアクションスターを使っている。
カメオ出演じゃないぞ、往年のスターがスクリーンのど真ん中で型を決めるのだ。
「少林サッカー」ほどわかりやすくはない。
会場でゲラゲラ笑う小学生の声を聞いてる中、グッときてしまった。
「ありえねーー」を楽しむも良し、往年の香港映画に感涙するも良し。正月早々すばらしい映画を観られたことを有り難く思う。
こんな映画が作られるうちは中国はまだまだ大丈夫だ。
90点