近代戦争にそんな造詣が深いわけではない。戦術も概略としなんとなくわかっているが、せいぜい最新戦闘機の画像を楽しむって程度が関の山だったりする。
本国アメリカの海兵隊を志願する若者もきっとその程度の知識であろう。
貧困から逃れる者、経歴にハクをつける者、戦場でしか生きる価値を見いだせない者、自分を変えたいと願う者、そしてなんとなく志願しちゃった者。

そんな様々な若者がアメリカ海軍の切り込み隊長となるべく海兵隊の門を叩く。
そしてワケのわからないうちに中東に連れてこられ、駒としての自分と人としての自分の乖離感と絶望的なまでに大きい砂漠と時間に溺れていく.....

「ジャーヘッド」

主演は「ドニー・ダーコ」のジェイク・ギレンホール。「ブローバック・マウンテン」にも出演する味のある若手だ。随分とたくましいオトコになったもんである。
その他ジェイミー・フォックスやピーター・サースガードも出てるのだが、”ジャーヘッド”だったからはじめのうちわかんなかったよ(^_^;)＞サースガード。
「ニュースの天才」や「フライト・プラン」で観たら結構おっさんのように見えるんだが、ここでのサースガードは若く見える。いったいいくつなんだ？

内容はマクラに書いたように湾岸戦争に出向いた海兵部隊の終戦までを描いている。
ただし戦争映画には欠かせない銃撃シーンは全然出てこない。
本国で黙々と狙撃練習するところや味方の攻撃機に誤爆されるとこ、迫撃砲で狙われるとこ以外は銃声ひとつない。そして、主人公は引き金を引かぬまま終戦を迎える。

「俺の湾岸戦争とはなんだったのか？」
ということを一個人に語らせながらも、実は近代の戦争はこういうものなのだ、ということを如実に物語っている21世紀の戦争ドキュメンタリーの傑作である。

ただし、優れたドキュメンタリーが優れた映画になるワケじゃない。
個々人のエピソードの掘り下げは甘いし、ダラダラと続く前半と余りにも唐突なエンディング、そしてエピローグは観る者を消化不良に陥らせることだろう。
80年代後半のポップスを多用したBGMや砂漠の焦燥感タップリのカメラの出来は良かったので余計にそう思う。
とはいうものの、退屈せずには観れました。

56点

レイトショーで観た。俺の他に3人いたのだが、1組はカップル。
金曜夜にこんな映画をレイトで観るカップルなんてどーゆー間柄なのだろう？と気になってしょーがなかった。