「犬神家の一族」鑑賞

信州の富豪、犬神財閥の佐兵衛翁が死去した。
その莫大な遺産を相続するために集まった三人娘とそれぞれの息子...佐清、佐武、佐智...らだったが、遺族の思惑とは裏腹に遺言状には「犬神家の家宝“斧(よき)・琴(こと)・菊(きく)”の三つを珠世に与え、三人の息子いずれかとの結婚を条件に全てを相続する」とあったのだった........

齢90を越える市川崑渾身の一作。横溝ファンから市川ファン、いやさ日本中の映画ファン待望のセルフリメイクである。俺自身、企画が持ち上がったときから一番期待してた作品でもあった。
想像だが、東宝もこの冬一番力の入れてる映画だと思う。

故に一抹の不安もあった。
「八つ墓村」リメイクのダメっぷり、監督の年齢、キャストの薄っぺらさ....
果たして面白いのか?
つか、大丈夫か?(ーー;)

と、ヘンな意味でドキドキしながら劇場に向かった。

で、感想。
 
 
 
 
........んーーーーーーーーーーーー......惜しい!(笑)

とりあえず「八つ墓村」よか面白いとは言える。
富司純子も思ったより松子として風格があったし、本作のキモであるところの奥菜恵と仲代達矢も想像通りの好演でホッとした。菊の助くんの佐清もあおい輝彦と比べるとそんな遜色もなかったように思う......
って結局こうなんだよな。76年版と比べちゃう。
で76年版に比べると少しずつ、全てが劣っているのだ(^_^;)。

まずキャスト。
俺の中で金田一耕助は石坂浩二以外は考えられないので30年ぶりの復帰は大変嬉しいところではあるけど、やっぱ年とりすぎ。あのとぼけたキャラクターが通用するのはせいぜい40までだろう。落ち着いた金田一は金田一じゃない。
あと松嶋菜々子は”とう”が立ちすぎだった。大体清楚で一途な野々村珠世役やるにはおばちゃんなんだな。キレイかもしれんけど。乳もださねぇし。
深キョンは....あなたは「下妻」にだけ出てなさい。
中村敦夫、演技くさすぎ
加藤武、「よしわかった」いいすぎ
三谷幸喜、いらない
とまぁ軒並みダメだった。まぁこれはある意味期待通りだったといえるけどな。

で画面の方もビデオ撮影なのか76年版に比べて奥行きがなく薄っぺらい。
市川お得意の細かいカットワークもテンポが悪くキレがない。そしてなによりこの連続殺人の要因である野々宮大弐と佐兵衛の出会いをサクッと流してるところが腹立つというかびっくりした。
ここをキチンと説明しないと話がつながらんでしょーに.....

あと平成の公開作品だからしょーがないことなんだろうが、76年版の「完」を知ってる者にとってはエンドロールは野暮以外のなにものでもなかった。

 
とまぁダメなところばっかり書いちゃったのは76年版が素晴らしすぎるから。
それを忘れて市川作品であることも忘れて観れば、まぁ及第点だとは思う。
この作品を気に入った人で76年版をご覧になってない方は是非TSUTAYAに直行してもらいたい。市川崑の凄さがわかる。

49点

http://diarynote.jp/d/38325/20060505

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