「容疑者Xの献身」観賞

弁当屋を営む花岡靖子は別れた夫富樫の乱暴に思わず彼を殺してしまう。途方に暮れる靖子と娘美里、間をおかず部屋をノックする男がいた。それは隣に住む数学者石神であった.....
 


東野圭吾の原作は未見だが「手紙」や「秘密」のヒューマニズムと「g@me.」「レイクサイドマーダーケース」のエンターテイメント性を兼ね備えた作者であるのでこれらの作品を観てると、まぁ良くできたライトノベルの映像化だと思ってた。テレビ版もそんな感じだったしな。
それがクライマックスでは正座しながら目頭を熱くしよーとは。(^_^;)

良かったとこ。
まず第一にテレビでのお約束(テーマソングをバックに数式を落書きしたり、キメポーズをとったり)がなかったのとタイトルにガリレオという単語がなかったのでシリアス度がアップしたこと。
第二にフィルム撮影なので画面が全体的に奥深くなったこと。
第三に理系独特のロジックを用いた殺人とミスディレクションを誘発する数々の仕掛けが見事にハマり心地よかった点。

加えて主役を喰った堤真一と松雪泰子の演技がなにより凄かった。
数学のみを愛し人生に絶望したブサメンが己の頭脳をもとに人生をかけて護りたかったモノとはなんだったのか?
倫理と愛情をも越えてロジックを駆使して導き出した完全だと思った解は人の業という名の朧に破綻するのだ。それに気付いた石神の慟哭が涙を誘う。
 
破綻した後も一筋の光明を信じあがく石神、そして捜索現場から発見された凶器から続くエンディングと柴咲コウの「最愛」がまたベタだけど心に染みた。
フジテレビの亀山さんプロデュースの割りにホント良かった。天童荒太ばりの人間模様に恐れ入る。

77点

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