九九の話が出たのでもうひとつ学校ネタを。

郵便局の年賀状を買いに行くと、そこに地元小学生の絵が展示してあった。
動物園を写生したであろうそれらの絵の下には「金賞」「銀賞」「局長賞」等々、色々の札が下がっていた。どれも巧いが金賞のこれよりはこっちの絵の方が明らかに優れてるだろ、という作品もいくつかある。
まぁこういう賞って選者の感性なんだろうけどね。

俺の小中学校時代の美術(図画工作)の先生はそのまんま芸術肌の先生で「感性」とか「自分の思いを大切に」とかそういう抽象的なことしか言わなかった。
テキトーに絵を描かせて授業はボケーっとしてテキトーに採点して給料がもらえるなんて美術の先生は楽だな、と思ってた。美大出の教職志望者が人あまりでなかなか就職できないという話を聞くが、そんな楽な仕事では誰も辞めないのも当たり前だろう。

俺は美術の授業が大嫌いだった。
通知票はいつも2か3。
絵を描くのは実は嫌いではない。でも上手に書けない。特に写生なんかは目の前の風景を紙の上に表現できないのだ。
森の木々を描くにしても葉っぱ1枚1枚描くワケにはいかないので省略するんだけど、どこをどうやって省略しればいいのかわからん。美的センスがない、はい、まさしくその通り(^_^;)。
で、思うように描けなくて途中で投げ出して、グチャグチャな絵になって怒られる。
そんな感じだった。

しばらくしてちょっとした事故で3ヶ月入院してたとき、なにげに観てたNHKで外人が4色の絵の具と平筆、細筆だけで海岸を描く教養番組を放送してた。
「!!!」
そこでは、水彩画の基本的な書き方テクニックを教えてたのだ。
絵を描く方には常識かもしれないが、例えば鉛筆でラフを描いてベース色を薄い色でべた塗りする、とか、ドライヤーで乾燥させてから色を重ねていく、とか、平筆の使い方とか。
「へぇ〜×10 こうやって描けばいいのかぁ。」
食い入るように観て早速母親に絵の具一式持ってこさせ、入院中はずっと絵を描いてた。テレビで観たように描けば上手に見えるのだ。それが楽しかった。
それから陶芸の方に興味が移ったので絵は滅多に描かなくなったが、陶芸も造形のテクニック...というか基本を教えてもらってすこしずつ上手になってハマっていった。
巧く描けたり造れたりすると誰でも楽しいのだな。

さて、学校の話に戻ろう。
美術は情操教育かなんか知らんが、個性・感性を大切にするらしい。
個性ってなんだ?感性は?
そんな不確定なものが大事なら点数を付けるな!といいたい。
それと、美術の先生はちゃんと「絵の描き方」を教えたほうがいい。筆の使い方、色の塗り方、鉛筆の使い方等々、「こうすれば上手に描ける」というテクニックを最初に教えて上げるべきだ。
そういうことを言うと「個性が発揮できない」とおっしゃる御仁もいると思うが、個性は基本の上に立つモノだ。それに、うまく描ければ楽しいのよ。楽しかったらどんどん上達してくる。
最初は模写でもトレースでもなんでもいい。「自分は上手に絵が描ける」という自信が大事だ。それこそ情操教育のような気がする。
別に絵が巧くなくてもいいのだ、美術の先生なんか。
そういうことを言うとと美大生、ほんとにツブシがきかなくなるか?(^_^;)

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