最近のビデオ(&映画)はどうにもハズレが多いなぁ..と落ち込んでたところTSUTAYA5本で千円セールに紛れ込んでいた一本の映画「ニューオリンズ・トライアル」。既に落ち目のダスティン・ホフマンと最近は何を演らせても同じキャラのジーン・ハックマン、どんな映画に出ても脇役キャラから脱しないジョン・キューザックの三つ巴だと想像したらその通りだったのだけど...

素晴らしい!!!!!!

ほんまもんの役者がガチンコで演じると普通の映画がこれほどまでに緊張感のある作品に仕上がるという好例であろう。
いや、普通の映画というとジョン・グリシャムやゲイリー・フレダーに失礼だな。
「ペリカン文書」「依頼人」「レインメーカー」等、法廷ものの第一人者ジョン・グリシャムが今までと違い陪審員制度の暗部にメスを入れ従来の法廷ものとは違った新機軸を打ち出したのに対し、「コレクター」「サウンド・オブ・サイレンス」で大物スター相手にちゃんとした作品を作ったゲイリー・フレダーである。今回もダスティン・ホフマンとジーン・ハックマンの魅力を思う存分引き出してくれた。特に最近パッとしないダスティン・ホフマンを復活させた功績は大きい。
ジョン・キューザックの善人だか悪人だかわからんキャラクターを活かし大物二人にからませるところもツボにハマってる。この三すくみの様子が骨太な脚本を基にスリリングに描かれる様はもうエクセレント!としか言い様がない。

もうひとつ、これは監督も意図してなかったことだろう。
原作の「陪審評決」ではタバコ訴訟が筋となっているが、これを銃訴訟に切り替え悪役陪審コンサルタント(ジーン・ハックマン)と善玉原告弁護士(ダスティン・ホフマン)の対決に的を絞った脚本は正解である。たとえそれが「インサイダー」の二番煎じを嫌ったためだけだったとしても、わかりやすい脚本を求めた結果だったとしても実際として現在米国で抱える問題を如実に表すことに成功しているからである。あのラストをヌルく感じるか、アメリカの良心と考えるかで幾分評価は変わってくるだろうが、俺はこれこそ「神が降りた映画」として讃えるだろう。

いまこそこれを観ろ。もうひとつの「ボーリング・フォー・コロンバイン」がここにある。

89点

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