史上最低の映画監督はだれか?
と問われれば、色々な名前の人が出て来るであろう。
例えば井筒監督、「口ばっかで他人の映画をこきおろしやがって自分もクソみたいなシャシンしか撮ってないくせに」
例えば那須博之、「ビーバップとかヌルいアイドル映画だけ作ってりゃいいものを会社に言われたからって力量以上の原作に手を出して台無しにしやがって」
例えば水野晴郎、「映画好きとかいっといてお前が一番解ってねぇじゃんか」
例えばS・キング、「他人に撮らせたら原作が台無しってんで自分でとったらそのザマか」

という大御所を引き離し、世界的に「最低映画監督」となるとこの人をおいて他にはおるまい。
エドワード・D・ウッド・Jrことエド・ウッド。ときにはダニエル・デイビスの名で俳優にもなった、世界を代表するクソ映画メイカーだ。
女装癖がありアル中、情熱だけは人一倍あるが監督としての才能は悲しいほどない。
彼が手がけた渾身のSFスリラー(笑)「プラン9・フロム・アウター・スペース」では「ドラキュラ」で有名なべラ・ルゴシを起用するも途中で死んだので生前の同カットを多用したり見た目まで全然違う俳優の顔を隠して撮りきり、完成させてしまうという暴挙にでる。もちろんそんな最低映画に買い手がつくはずがないので劇場公開はなされなかったが、テレビ深夜枠で繰り返し放映されその群を抜いた最低具合で大評判になった。続く「死霊の盆踊り」で脚本を務めるものの、四百字詰め原稿用紙一枚で事足りる内容の無さ(観たことある人しかわからんが、大げさじゃなく本当に原稿用紙一枚分の内容なんです。だってただ踊ってるだけの映画なんだもん)に再び話題沸騰、一躍カルトムービースターとなる。

さて、そんなエドウッドの半自伝的映画がその名も「エド・ウッド」である。
前述の「プラン9...」の制作現場を描いた悲喜劇。
監督はティム・バートン、主演はジョニー・デップという「シザーハンズ」コンビが世に問う....わないな、これは(笑)。人間エドウッドを好きな人達が彼を偲んで作った備忘録であり、己の内にあるエドウッド的なものを告白した自叙伝であろうと思う。
この作品でティム・バートンは「他人はのび太を笑うだろう。でも俺ものび太だ。君ものび太じゃないか?いいんだよ、のび太で」と世の引きこもりに温かい手を差し伸べてると言えば言いすぎだろうか?
この映画を観てニヤニヤする人もいるだろう。あっけにとられる人もいるかもしれない。俺はいつ観てもグッと来ちまう。だって俺も口先だけののび太だからだ。

偏愛を描く天才ティムバートンの一番彼らしい作品であろう。
79点

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