宮崎駿はもう老いてしまった。
自分の限界にチャレンジすることや新しいものを創造することを放棄したようだ。
「もののけ姫」と「千と千尋の神隠し」にはかろうじて残ってたメッセージ性をあっさりと排除し、起承転結を無視した作品づくり。残るのはおぞましく動く城のみ。
世間や売り上げといった枷を外された昭和ひとけた反戦老人の行き着く先は怒濤の戦争映画だった。なんという皮肉であろう。
彼はもうアニメーションを手段に我々に問いかけることも楽しんでもらうこともやめてしまってたのだ。潤沢な資金を使い、己の「こーゆーの作ってみたいなぁ」という欲望のままにジブリを動かし、世界最高のスタッフとアニメ技術を用いて出来た「ハウルの動く城」には故に心動くものはなにひとつ無かった。
宮崎御大の宮崎御大による宮崎御大のための映画、またの名を「え〜じゃないか」映画とも言えるだろう。
キムタクや倍賞千恵子のアテレコに違和感がある？
バカもの！そんな小さいことに拘るな！この圧倒的な画力を見よ！頭で考えてはいかんのだ。目の前にせまる豪華絢爛な映像美に酔いしれろ！
元禄文化やロココの猥雑さが認められるのはずっと後の時代だった。
きっと「ハウル」もそういった類のものだ。
だからこそ、俺は認めない。
さよなら、俺の大好きだった宮崎駿。
今日は「ラピュタ」を観ながら貴方を偲ぶことにするわ。
33点
