平成の戦国自衛隊というもの
2005年6月7日 映画
半村良の原作のラストは、燃えさかる寺で伊庭隊長がタイムスリップしてからの日々を回想し、自分が織田信長でここが本能寺であることを知る、というクライマックスで幕を閉じる。
春樹ちゃんによって制作された映画はその「実は信長」というプロットをはずし、70年代ハードボイルドテイストたっぷりのSFアクションとなったがこれはこれですごい面白い。兵器考証やストーリーの展開に多少無茶があるものの、サニー千葉監修のアクションシーンは派手で最高だし、戦国時代にタイムスリップした現代人の苦悩と狂気が良く表現されていた。最後、影虎に裏切られ名もない廃寺で死ぬ様は、当時の左派的アイロニーとカタルシスを十二分に感じることができる。
で、問題はこういう感覚が平成の現在、諸手をあげて一般的に受け入れられるものではなくなっているという点なのだ。
10代、20代の若者はこの角川版「戦国自衛隊」を観てどう思うか?
「時代考証メチャクチャ」
「戦略も大義もない自衛隊はあまりにもリアリティがない」
「ストーリーが強引だ」
きっとこんな酷評が列ぶと思う。
この映画を観て鼻の奥がツーンとする人は、日教組の教育を受けながらも近所の頑固オヤジに怒られた経験を持つ1960年代生まれ以上のオヤジなのだ。大藪春彦や北方謙三にグッとくる人と言い換えてもかまわない。まぁ旧世代のトレンドってやつだな。
さて、現在の映画業界において一番金を落とすのは小学生とそのパパママ世代である。次いで団塊ジュニア、年の頃でいうと25〜35歳になるのだが、この世代には四半世紀も前の感覚は通用しない。リメイクするなら故に新機軸の「戦国自衛隊」を作らねばならない。
制作委員会がそう考えたかどうか定かではないが、平成の世に復活した「戦国自衛隊1549」はカタルシスの微塵も感じることができないこざっぱりした娯楽映画と相成った。
原作福井晴敏のタイムパラドックスの説明や小説版との統合性&今風な味付け、監督手塚昌明のプロット重視ストーリー展開とスピーディーなアクションは、エンターテイメント作品としては及第点がつくのだろう。オリジナルよりこっちの方が出来が良いという人も少なからずいると思われる。
俺なんかは、この作品といい「ローレライ」といい、戦隊ヒーローもの的描写てんこ盛りお子様向け娯楽作品よりは先の「戦国自衛隊」の方が映画として正しい気がするんだがなぁ....「大事な人を守る!」ってガンダムシードか?
まぁこれがジェネレーション・ギャップてやつなんだろうから敢えて突っ込まないでおこう。
戦国時代へのタイムトリップについてだが、その理由や処理の仕方は原恵一の「クレしん嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」の方が百億万倍スマートなのでTSUTAYAで借りて観てもらいたい。
http://diarynote.jp/d/38325/20040827.html
37点、
真面目のベクトルが違う気がする。なんかこういう映画飽きちゃった(笑)
春樹ちゃんによって制作された映画はその「実は信長」というプロットをはずし、70年代ハードボイルドテイストたっぷりのSFアクションとなったがこれはこれですごい面白い。兵器考証やストーリーの展開に多少無茶があるものの、サニー千葉監修のアクションシーンは派手で最高だし、戦国時代にタイムスリップした現代人の苦悩と狂気が良く表現されていた。最後、影虎に裏切られ名もない廃寺で死ぬ様は、当時の左派的アイロニーとカタルシスを十二分に感じることができる。
で、問題はこういう感覚が平成の現在、諸手をあげて一般的に受け入れられるものではなくなっているという点なのだ。
10代、20代の若者はこの角川版「戦国自衛隊」を観てどう思うか?
「時代考証メチャクチャ」
「戦略も大義もない自衛隊はあまりにもリアリティがない」
「ストーリーが強引だ」
きっとこんな酷評が列ぶと思う。
この映画を観て鼻の奥がツーンとする人は、日教組の教育を受けながらも近所の頑固オヤジに怒られた経験を持つ1960年代生まれ以上のオヤジなのだ。大藪春彦や北方謙三にグッとくる人と言い換えてもかまわない。まぁ旧世代のトレンドってやつだな。
さて、現在の映画業界において一番金を落とすのは小学生とそのパパママ世代である。次いで団塊ジュニア、年の頃でいうと25〜35歳になるのだが、この世代には四半世紀も前の感覚は通用しない。リメイクするなら故に新機軸の「戦国自衛隊」を作らねばならない。
制作委員会がそう考えたかどうか定かではないが、平成の世に復活した「戦国自衛隊1549」はカタルシスの微塵も感じることができないこざっぱりした娯楽映画と相成った。
原作福井晴敏のタイムパラドックスの説明や小説版との統合性&今風な味付け、監督手塚昌明のプロット重視ストーリー展開とスピーディーなアクションは、エンターテイメント作品としては及第点がつくのだろう。オリジナルよりこっちの方が出来が良いという人も少なからずいると思われる。
俺なんかは、この作品といい「ローレライ」といい、戦隊ヒーローもの的描写てんこ盛りお子様向け娯楽作品よりは先の「戦国自衛隊」の方が映画として正しい気がするんだがなぁ....「大事な人を守る!」ってガンダムシードか?
まぁこれがジェネレーション・ギャップてやつなんだろうから敢えて突っ込まないでおこう。
戦国時代へのタイムトリップについてだが、その理由や処理の仕方は原恵一の「クレしん嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」の方が百億万倍スマートなのでTSUTAYAで借りて観てもらいたい。
http://diarynote.jp/d/38325/20040827.html
37点、
真面目のベクトルが違う気がする。なんかこういう映画飽きちゃった(笑)