大林くんの実験映画というもの
2005年8月21日 映画
宮部みゆきといえば、社会性のあるテーマやファンタジーまでを無難にこなすことができるマルチノベリストである。物語もテレビ向きっつーか、ほどほどに感動できてほどほどに考えさせられる感が上手にブレンドされた物語が多い。「火車」なんぞは良質の火サスとして扱えば最高の面白いだろうし(実際財前直見と三田村邦彦でドラマ化されたな)「クロスファイア」は「スカイハイ」の後釜としてテレ朝でドラマ化されるのにぴったりな作品だと思う。事実、彼女の作品はその多くが映像化され、お茶の間に流れたのだ。
そんな売れっ子作家の小説も、こと映画化ということになると話が違うらしい。
映画化された3本は「クロスファイア」「模倣犯」そして「理由」である。
サイキックガメラ少女軍団のトンデモ幻魔大戦を描いた「クロスファイア」
中居君と森田芳光の今後の人生を決定付けたお笑い爆発映画「模倣犯」
と立て続けにクソ映画の原作者に名を連ねることになった宮部みゆきはきっと神を怨んだことだろう。
金子修介、森田芳光という二大巨匠で砂を噛んだ彼女が次に選んだのは大林宣彦である。
「尾道三部作」の大林、日本に在する最後の映画監督(ロリコンぎみ)がメガホンを取った「理由」はとてもヘンな作品として仕上がってしまった。
まずシナリオがヘン。
原作を何一ついじることなく、原作通りのストーリーテリング、原作通りのキャラ設定、原作通りの台詞回しで最後まで通した。
「サイコ」の項でも書いたが原作を足したり引いたりするのが映画である。”行間を読む”ことができない映像作品は細部の作り込みとカメラワークでそれを表現するので原作通りに作るととても長くなってしまう。本作も160分という長尺になってしまった。
つぎに映像がヘン。
物語はドキュメンタリータッチで進んでいくが、みせられる映像は明らかに人工的な質感を持って映っている。これが大林タッチだと言われればまぁ納得するしかないのだが、彩度が高く露出オーバーめな映像は凄く違和感があった。
最後に音楽がヘン。
元々音楽監督だった大林であるので、ちょっとした効果音楽なんぞはちょちょいとその場でアレンジしてたようである。その才能は認めるが、全編にわたって途切れることのないBGMは明らかにやりすぎである。”静寂”というものがこの作品にはない。誰かが喋ってるときもいっつも後ろでジャカジャカ音が鳴ってる。うるさいよ。
特に最後のエンディングソング(笑)がすごい。子供が聞いたらトラウマになるであろう。
とまぁヘンな部分を抜粋してみたが、実はこの違和感こそ大林監督が狙ってたところらしい。実験映画だそうだ。100名を超える登場人物を全て出演させ(しかも多くの有名俳優を使い)、160分の実験映画を撮るなんて並みの映画監督にゃ無理だろう。大林組だからできた仕事である。そういう意味では今までにない映画であり、今後作られることは多分ないだろう。だって意味ないもん(笑)。
この大いなる実験映画に点数を付けるのはとても難しいが、原作の良い部分を損なってないところは評価できる。いや俺は原作読んでないんだけどさ(笑)、なんかみんながそんなこと言ってるから(^_^;)。でも久々に「原作を読みたい!」と思う映画だった。映画と原作の新しい関係性を築いたという点でも高得点が与えられる。
よって50点。低っ!(笑)
映画屋が大変なのはわかるけど、それを表に出したものを商品とするのはやっぱ、ちょっと、だよな。
内容はすげーよかった。要するに俺はあの”実験”が好みじゃないってことやね。よって平均点ってことで。
そんな売れっ子作家の小説も、こと映画化ということになると話が違うらしい。
映画化された3本は「クロスファイア」「模倣犯」そして「理由」である。
サイキックガメラ少女軍団のトンデモ幻魔大戦を描いた「クロスファイア」
中居君と森田芳光の今後の人生を決定付けたお笑い爆発映画「模倣犯」
と立て続けにクソ映画の原作者に名を連ねることになった宮部みゆきはきっと神を怨んだことだろう。
金子修介、森田芳光という二大巨匠で砂を噛んだ彼女が次に選んだのは大林宣彦である。
「尾道三部作」の大林、日本に在する最後の映画監督(ロリコンぎみ)がメガホンを取った「理由」はとてもヘンな作品として仕上がってしまった。
まずシナリオがヘン。
原作を何一ついじることなく、原作通りのストーリーテリング、原作通りのキャラ設定、原作通りの台詞回しで最後まで通した。
「サイコ」の項でも書いたが原作を足したり引いたりするのが映画である。”行間を読む”ことができない映像作品は細部の作り込みとカメラワークでそれを表現するので原作通りに作るととても長くなってしまう。本作も160分という長尺になってしまった。
つぎに映像がヘン。
物語はドキュメンタリータッチで進んでいくが、みせられる映像は明らかに人工的な質感を持って映っている。これが大林タッチだと言われればまぁ納得するしかないのだが、彩度が高く露出オーバーめな映像は凄く違和感があった。
最後に音楽がヘン。
元々音楽監督だった大林であるので、ちょっとした効果音楽なんぞはちょちょいとその場でアレンジしてたようである。その才能は認めるが、全編にわたって途切れることのないBGMは明らかにやりすぎである。”静寂”というものがこの作品にはない。誰かが喋ってるときもいっつも後ろでジャカジャカ音が鳴ってる。うるさいよ。
特に最後のエンディングソング(笑)がすごい。子供が聞いたらトラウマになるであろう。
とまぁヘンな部分を抜粋してみたが、実はこの違和感こそ大林監督が狙ってたところらしい。実験映画だそうだ。100名を超える登場人物を全て出演させ(しかも多くの有名俳優を使い)、160分の実験映画を撮るなんて並みの映画監督にゃ無理だろう。大林組だからできた仕事である。そういう意味では今までにない映画であり、今後作られることは多分ないだろう。だって意味ないもん(笑)。
この大いなる実験映画に点数を付けるのはとても難しいが、原作の良い部分を損なってないところは評価できる。いや俺は原作読んでないんだけどさ(笑)、なんかみんながそんなこと言ってるから(^_^;)。でも久々に「原作を読みたい!」と思う映画だった。映画と原作の新しい関係性を築いたという点でも高得点が与えられる。
よって50点。低っ!(笑)
映画屋が大変なのはわかるけど、それを表に出したものを商品とするのはやっぱ、ちょっと、だよな。
内容はすげーよかった。要するに俺はあの”実験”が好みじゃないってことやね。よって平均点ってことで。