珠玉の2本というもの
2007年12月23日 映画
TSUTAYAの使い古しビデオの一本100円ワゴンセールをしてたので漁っているとなんと「機動警察パトレイバー・劇場版」と「機動警察パトレイバー2 the Movie」のビデオを発見!
もはやビデオデッキもないのも忘れて買ってしまった。
いやぁ、こんな宝物が残っていたとはさすがTSUTAYA、見る目がない。(笑)
劇場版パトレイバーはこの2作の他に「WXIII 機動警察パトレイバー」という3作目も作られているが、これは監督が押井守じゃないし、パトレイバーの名を借りた別作品と捉えた方が正しいので実質的には上記2作で完結している。あ、ちなみに「3」のタイトルの”WXIII”は”WX-III”ではなく”W-XIII”=”Waste-13”を表している。これは原作マンガのサブタイトル「廃棄物13号」が映画の骨子になっているからだ。
以上、豆知識。
さてよく考えるとこの2本、大好きな作品にもかかわらずレビューを書いてなかったのでついでに書いておこう。
便宜上「機動警察パトレイバー・劇場版」を「1」、「機動警察パトレイバー2 the Movie」を「2」と略す。
「1」のあらすじ
東京湾埋め立て工事「バビロン・プロジェクト」に湧く1999年、東京。頻繁に起こるレイバーの暴走事故を調べる警視庁特車二課はその原因が多くのレイバーに新規搭載されたオペレーティングシステム「HOS」にあると推測、開発者の帆場を調査するが、彼は既に自殺していた。そして特車二課の面々はやがて帆場の画策した目的を知るのだった...
「2」のあらすじ
2002年、ベイブリッジが爆破されるという事件が起こる。当初テロと思われていたが、それが一機の自衛隊支援機から放たれた一発のミサイルによるものであることが判明する。調査の結果元PKO部隊隊長柘植行人が事件に絡んでいることを知るが、事態の状況悪化によって警察組織と自衛隊の上層部同士の確執が表面化し、捜査を妨げていた。
そしてある冬の朝、3機の正体不明な戦闘ヘリが飛び立つのだった...
俺の一番好きなアニメ映画は「カリオストロの城」だが、後世に残す90年代アニメを挙げるとすればこの2作だろう。
現在危険性が叫ばれているサイバーテロを軸に、聖書をキーワードにしつつ活劇的要素も忘れなかった「1」、幾度となく論争の種となる日本の防衛組織の脆弱性と、21世紀の東京に新しい2.26事件をシミュレートした「2」という違いはあるものの、黒澤明の「天国と地獄」を彷彿とさせる「1」での超高層ビルとトタン屋根家屋との対比や「2」で多用した広角撮影など、カメラを意識した構成も映画的で良いし、従来子ども向けだったのパトレイバーとは一線を引いたキャラクター造詣もオトナの観賞に堪えうる作品とすることに寄与している点も見逃せない。
後日、押井はOVやテレビアニメでは制約があって出来なかったことを劇場版にぶつけたと言ったが、どちらも21世紀の閉塞感を予言するような緻密且つリアルな描写でとても15年以上前に作られてるとは思えない。
これを押井の先進性と取るか、我々を含む世界の成長鈍化と取るかは意見の分かれるところであろうが、「踊る大捜査線」はこの「1」「2」をオマージュした作品であることやネットに数多ある「1」「2」の解説をみても絶賛されてることだけは間違いない事実である。
パトレイバーの世界観(バビロンプロジェクトとレイバーの関係性、昭和80年という時代設定)を前提としている作品なので一般人や外国人には受け入れられにくいのは否めないが、今こそ観る映画だと思う。
「1」97点
「2」98点
もはやビデオデッキもないのも忘れて買ってしまった。
いやぁ、こんな宝物が残っていたとはさすがTSUTAYA、見る目がない。(笑)
劇場版パトレイバーはこの2作の他に「WXIII 機動警察パトレイバー」という3作目も作られているが、これは監督が押井守じゃないし、パトレイバーの名を借りた別作品と捉えた方が正しいので実質的には上記2作で完結している。あ、ちなみに「3」のタイトルの”WXIII”は”WX-III”ではなく”W-XIII”=”Waste-13”を表している。これは原作マンガのサブタイトル「廃棄物13号」が映画の骨子になっているからだ。
以上、豆知識。
さてよく考えるとこの2本、大好きな作品にもかかわらずレビューを書いてなかったのでついでに書いておこう。
便宜上「機動警察パトレイバー・劇場版」を「1」、「機動警察パトレイバー2 the Movie」を「2」と略す。
「1」のあらすじ
東京湾埋め立て工事「バビロン・プロジェクト」に湧く1999年、東京。頻繁に起こるレイバーの暴走事故を調べる警視庁特車二課はその原因が多くのレイバーに新規搭載されたオペレーティングシステム「HOS」にあると推測、開発者の帆場を調査するが、彼は既に自殺していた。そして特車二課の面々はやがて帆場の画策した目的を知るのだった...
「2」のあらすじ
2002年、ベイブリッジが爆破されるという事件が起こる。当初テロと思われていたが、それが一機の自衛隊支援機から放たれた一発のミサイルによるものであることが判明する。調査の結果元PKO部隊隊長柘植行人が事件に絡んでいることを知るが、事態の状況悪化によって警察組織と自衛隊の上層部同士の確執が表面化し、捜査を妨げていた。
そしてある冬の朝、3機の正体不明な戦闘ヘリが飛び立つのだった...
俺の一番好きなアニメ映画は「カリオストロの城」だが、後世に残す90年代アニメを挙げるとすればこの2作だろう。
現在危険性が叫ばれているサイバーテロを軸に、聖書をキーワードにしつつ活劇的要素も忘れなかった「1」、幾度となく論争の種となる日本の防衛組織の脆弱性と、21世紀の東京に新しい2.26事件をシミュレートした「2」という違いはあるものの、黒澤明の「天国と地獄」を彷彿とさせる「1」での超高層ビルとトタン屋根家屋との対比や「2」で多用した広角撮影など、カメラを意識した構成も映画的で良いし、従来子ども向けだったのパトレイバーとは一線を引いたキャラクター造詣もオトナの観賞に堪えうる作品とすることに寄与している点も見逃せない。
後日、押井はOVやテレビアニメでは制約があって出来なかったことを劇場版にぶつけたと言ったが、どちらも21世紀の閉塞感を予言するような緻密且つリアルな描写でとても15年以上前に作られてるとは思えない。
これを押井の先進性と取るか、我々を含む世界の成長鈍化と取るかは意見の分かれるところであろうが、「踊る大捜査線」はこの「1」「2」をオマージュした作品であることやネットに数多ある「1」「2」の解説をみても絶賛されてることだけは間違いない事実である。
パトレイバーの世界観(バビロンプロジェクトとレイバーの関係性、昭和80年という時代設定)を前提としている作品なので一般人や外国人には受け入れられにくいのは否めないが、今こそ観る映画だと思う。
「1」97点
「2」98点