本年度最高邦画というもの
2005年3月15日 映画多少土をいじったことのある人ならみんな感じると思うが、陶芸というのは偶然の産物である。それこそ湿度や釜のどの位置で焼くかで全然違ったものになるのだから。大御所の作家さんが自分の作品をパカパカ割るのは作品に満足できないのではなく、確率的に数%しかできないのがわかってる上で単純に選別してるだけなのだな。
最近の電気釜は電子制御でそれなりのものが出来るけど、銘器と比べるとそればやっぱり「それなり」のもので、どこか薄っぺらかったりする。レシピがわかってて温度管理のできる電気釜を使って模造してもそんな調子なのに、作り方もわからない古信楽のビードロ釉を一から確立しようなんざ砂浜で小石を探すようなもんだ。と誰もが思うだろう。
しかし、それを実現した女傑がいた。
神山清子氏である。
「おんなのくせに」という旧態依然とした陶芸界をひっくり返した強者であるが、彼女はまた、骨髄バンクの設立にも尽力したことでも知られる。
そんな女性の波瀾万丈な半生を「TATTOOあり」のバイオレンス監督高橋伴明が撮った。
「火火(ひび)」
清子を演じるのは田中裕子、もうすばらしいの一言である。しばらくスクリーンではお目にかかってなかったが、さすが名女優、凄味のある迫真の演技。こののんびりとした出で立ちのどこにあれだけのパワーがあるのだろう。
脇を固める、池脇千鶴、岸部一徳、黒沢あすかといった役者もすばらしい。そしてダイブクボヅカの弟、窪塚俊介もこれがデビュー作品でありながらなかなかの熱演。
全編お涙頂戴シーンで埋まっている作品が多い昨今(「セカチュー」とかな)ノンフィクションも単純な「泣ける」作品のオンパレードとなってると思うが、「火火」はちょっと笑っちゃう部分もあったりして(千鶴ちゃんとのHシーンなんか)、このあたりは「レイ」にも通ずるんだろうけど、ナチュラルさが抜群だのだな。
病気が進行して弱ってる息子に「死ね」と言いながら骨髄バンク設立に奔走する母親。
自分の命と引き替えに制作作業に没頭し、精子ではなく未熟ながらも力強い作品を遺した息子。
その母子のバカ正直なひたむきさと心動かされた人々の決意に観客は感動する。
俺も泣いてしまった。
2005年もまだまだ先は長いが、とりあえず本年度ベスト作品といっておこう。
89点
追記
骨髄バンクの登録は簡単だし、骨髄液をとられたからといって命に別状があるワケではないので、善い人ぶりたい人から自傷癖のある人まで是非登録してもらいたい。君の助けが必要な人はいるのだ。詳しくは
http://www.jmdp.or.jp/
最近の電気釜は電子制御でそれなりのものが出来るけど、銘器と比べるとそればやっぱり「それなり」のもので、どこか薄っぺらかったりする。レシピがわかってて温度管理のできる電気釜を使って模造してもそんな調子なのに、作り方もわからない古信楽のビードロ釉を一から確立しようなんざ砂浜で小石を探すようなもんだ。と誰もが思うだろう。
しかし、それを実現した女傑がいた。
神山清子氏である。
「おんなのくせに」という旧態依然とした陶芸界をひっくり返した強者であるが、彼女はまた、骨髄バンクの設立にも尽力したことでも知られる。
そんな女性の波瀾万丈な半生を「TATTOOあり」のバイオレンス監督高橋伴明が撮った。
「火火(ひび)」
清子を演じるのは田中裕子、もうすばらしいの一言である。しばらくスクリーンではお目にかかってなかったが、さすが名女優、凄味のある迫真の演技。こののんびりとした出で立ちのどこにあれだけのパワーがあるのだろう。
脇を固める、池脇千鶴、岸部一徳、黒沢あすかといった役者もすばらしい。そしてダイブクボヅカの弟、窪塚俊介もこれがデビュー作品でありながらなかなかの熱演。
全編お涙頂戴シーンで埋まっている作品が多い昨今(「セカチュー」とかな)ノンフィクションも単純な「泣ける」作品のオンパレードとなってると思うが、「火火」はちょっと笑っちゃう部分もあったりして(千鶴ちゃんとのHシーンなんか)、このあたりは「レイ」にも通ずるんだろうけど、ナチュラルさが抜群だのだな。
病気が進行して弱ってる息子に「死ね」と言いながら骨髄バンク設立に奔走する母親。
自分の命と引き替えに制作作業に没頭し、精子ではなく未熟ながらも力強い作品を遺した息子。
その母子のバカ正直なひたむきさと心動かされた人々の決意に観客は感動する。
俺も泣いてしまった。
2005年もまだまだ先は長いが、とりあえず本年度ベスト作品といっておこう。
89点
追記
骨髄バンクの登録は簡単だし、骨髄液をとられたからといって命に別状があるワケではないので、善い人ぶりたい人から自傷癖のある人まで是非登録してもらいたい。君の助けが必要な人はいるのだ。詳しくは
http://www.jmdp.or.jp/