オンナは基本的に「泣きたい」生き物であると同時に「忘れる」天才である。

....というのが俺の持論であるのだが、おおよそ的はずれではないと思う。
別れ話を切り返してからの割り切りの良さ、俺がどんな顔をしていいかに四苦八苦してる横に来て「もしかしてモトサヤもアリか?」と見当違いな妄想を抱いてしまうくらいシレッと最高の笑顔を見せたりする。でもそれはもうすっかりリセットされてるから、俺のことをどうとも思ってないから見せられるんだ、と気付くにどれだけの時間がかかったことか。(´▽`)

この「エターナル・サンシャイン」はそういう男女にありがちなすれ違いを近未来の日常を舞台にしてつくった恋愛映画である。
この映画のすごいところは完全に男性を対象とした恋愛映画であることだろう。
今までの男性向け恋愛映画というのはバイオレンスやギャグ、ナンセンスを土台としてそこに恋愛要素を詰め込んだものが多かった。「レオン」しかり「恋する幼虫」しかり「オアシス」「シュリ」もそうだ。なぜならオトコっつーのは「大好き、チュ!」的な描写を善しとしないからだ。格好悪いから。だってそうだろ?「大好きな映画は「ラブ・アクチュアリー」です」って自分の彼氏が真顔でのたまったら引くっしょ?(笑)

だが、「エターナル・サンシャイン」。これはストレートな恋愛映画として売り出している。立ち位置は「ラブ・アクチュアリー」と変わらないところにあると思う。ジム・キャリーが得意な顔芸を封印し、 「タイタニック」のケイト・ウィンスレットを相手役に選んだところから観てもそうだろう。ギャガの戦略もそういうところを狙ってるしな。
それでいて内容(脚本)は女性を泣かせようとか幸せな気分になってもらうという配慮はなされていない。ねらいは男性陣、しかも「オンナにフラれてどうしていいか解らなくなった」苦くも甘酸っぱい体験を持つ者に対して。
つまり基本的にオトコが毛嫌いするストレート恋愛映画のシチュエーションを使いながらもターゲットをオトコに設定する。そこがすごいのだ。

断言する。
この映画、10代〜20代女性陣には冗長で「つまらない」と映る場合があるだろう。
30代の恋愛映画大好きな女性にはすこぶる評判が悪い可能性があると思う。
当然だ、制作者は君たちのことなんか眼中ないから。
(余談だが、一緒に観た彼氏は君らがこの映画で感じた印象を毎回君が観たい映画を観る度に持ってるんだよ、ということも書き加えておこう(笑))
でも、相応の色恋を経験した男性ならきっと過去を思い出しながら、ジム・キャリーの情けない顔に涙することだろう。

もう一度言う。
オトコこそ、観ろ。
そして限りなく利己的な愛情に、脳内ファンタジーに溺れて泣け!

90点。
チャーリー・カウフマン恐るべし。

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