フラッシュバックというもの
2003年7月3日 ヘタレ恋愛話 さめざめと雨が降る。今日はちょっと涼しいみたい。
雨間を選んで車の中を掃除する。
そしたら元彼女の使ってたライターが落っこちてた。200円くらいの、電子ライター。景品でもらったといってたそれは表にキャラクターのシールうらに「1998」の年号。別れて三年ちょっと、あ、まだかけらが残ってたんだな.....
カチッ
火を着けてみる。『これが一回でついたら今日はツイテるぞ』彼女の口癖だった。『マイルドセブンなんて、そんなオヤジくさい』チャチャを入れると『キャスターマイルドよりマシだよ』何回繰り替えしただろう?そんな会話。
旦那になったやつはタバコを吸わないやつだった。風の便りによると、彼女もタバコをやめたそうだ。昨年子供も産まれたらしい。
カチッ
もう一度火を着けてみる。今度は弱い火が一瞬だけ燃えてすぐ消えた。「ツイテないのかねぇ?」思わず独り言が口をつく。
忘れてるはずだった。幸せを願ってることに偽りはない。だけど、こんなちっぽけなことが起こる度にフラッシュバックする感情と気持ち。自分の中の邪悪を抑えるのにしばしもがく。
あとどれくらいこうしないといけないのだろう?途方もない先を考えて挫けそうになる。だが、果てしなく思える孤独感も、慣れたもので戻ってくるコツがわかれば案外簡単だ。恐いのは「戻れることも見えなくなる」こと。
落ち着くまで数秒。 大したことない時間だ。
「大丈夫」自分に言い聞かせる。
彼女を忘れるために、自分を見失わないために必要なもの。それはやっぱり彼女の存在だったりする。彼女を愛した時間、彼女と交わした言葉、皮膚の感触、香り、汗...それで苦しめられてるくせに、それに救いを求める。
堂々回り?そうじゃない。
自分が自分で在るために、彼女は必要だったってこと。それで今でもやっぱり必要だってこと。求めない、期待しない。自分の中にある彼女で救われる。
ただただそれだけを受け入れよう。それが自分自身だから。
三たび火を着ける。今度は一発だ。ポケットの中のキャスターマイルドを引っぱり出してそのライターで火をつける。深く吸い込んで身体の中のモヤモヤを一緒に吐き出す。『よう、俺はまだキャスターマイルドだわ』ライターを元あった場所に投げ入れて、ドアを開ける。
「さて、ちゃちゃっと片付けようか」雲間から見えた太陽が優しく頬に触れた。
****
絡め合う 昨日の逢瀬は幻か
白の小花の半夏生
雨間を選んで車の中を掃除する。
そしたら元彼女の使ってたライターが落っこちてた。200円くらいの、電子ライター。景品でもらったといってたそれは表にキャラクターのシールうらに「1998」の年号。別れて三年ちょっと、あ、まだかけらが残ってたんだな.....
カチッ
火を着けてみる。『これが一回でついたら今日はツイテるぞ』彼女の口癖だった。『マイルドセブンなんて、そんなオヤジくさい』チャチャを入れると『キャスターマイルドよりマシだよ』何回繰り替えしただろう?そんな会話。
旦那になったやつはタバコを吸わないやつだった。風の便りによると、彼女もタバコをやめたそうだ。昨年子供も産まれたらしい。
カチッ
もう一度火を着けてみる。今度は弱い火が一瞬だけ燃えてすぐ消えた。「ツイテないのかねぇ?」思わず独り言が口をつく。
忘れてるはずだった。幸せを願ってることに偽りはない。だけど、こんなちっぽけなことが起こる度にフラッシュバックする感情と気持ち。自分の中の邪悪を抑えるのにしばしもがく。
あとどれくらいこうしないといけないのだろう?途方もない先を考えて挫けそうになる。だが、果てしなく思える孤独感も、慣れたもので戻ってくるコツがわかれば案外簡単だ。恐いのは「戻れることも見えなくなる」こと。
落ち着くまで数秒。 大したことない時間だ。
「大丈夫」自分に言い聞かせる。
彼女を忘れるために、自分を見失わないために必要なもの。それはやっぱり彼女の存在だったりする。彼女を愛した時間、彼女と交わした言葉、皮膚の感触、香り、汗...それで苦しめられてるくせに、それに救いを求める。
堂々回り?そうじゃない。
自分が自分で在るために、彼女は必要だったってこと。それで今でもやっぱり必要だってこと。求めない、期待しない。自分の中にある彼女で救われる。
ただただそれだけを受け入れよう。それが自分自身だから。
三たび火を着ける。今度は一発だ。ポケットの中のキャスターマイルドを引っぱり出してそのライターで火をつける。深く吸い込んで身体の中のモヤモヤを一緒に吐き出す。『よう、俺はまだキャスターマイルドだわ』ライターを元あった場所に投げ入れて、ドアを開ける。
「さて、ちゃちゃっと片付けようか」雲間から見えた太陽が優しく頬に触れた。
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絡め合う 昨日の逢瀬は幻か
白の小花の半夏生