しりあがり寿のドラッグコミックを飛ぶ鳥を落とす勢いのクドカンが初監督でつくった同名映画「真夜中の弥次さん喜多さん」を観る。

世の中には「キチガイ映画」と「キチガイっぽくつくった映画」がある。
前者はたとえば「悪魔のいけにえ」や「時計じかけのオレンジ」。「サイコ」やジェイソンシリーズなんかは後者になる。
どちらかに優劣をつけるという話ではない。どちらも名作を輩出してるし、本物にもフェイクにもそれぞれに楽しみ方があるのだから。

で、「真夜中の...」である。
しりあがり寿のマンガでは”現実と夢”の境目がなくなるようなドラッグコミックとしての作用があった。そしてそれは描かれる”生と死”のあり方を通じて己の倫理観や宗教観にも浸透してしまうという危険なマンガ....そう、キチガイマンガであったのだ。

それが映画ではそのテイストは残るものの、「っぽい」作品になってしまったのは大変残念である。
もっともクドカンにエンタ映画は撮れてもキチガイ映画は無理だってのは端からわかってることだし、わざわざ客の入らない映画を作ることもないからしょーがないのだけど。

出演者はチョー豪華。
クドカンつながりで大人計画の俳優さん勢揃いだし、生瀬や寺島進、ブッキー、大森南朋という今をときめく俳優さん、小池栄子、麻生久美子、森下愛子という実力派女優陣、板尾さんグッさんおぎやはぎというお笑い系、そしてそして勘三郎、古田新太、研ナオコ、竹内力の贅沢な使い方なんぞ、ある意味クドカンじゃないと実現しないキャスティングだろう。みなさん楽しくやってるのも良くわかる。

でも....ただそれだけなんだよなぁ...
きれいにまとめすぎてた。
優等生、頭の良い子がつくる良くできた映画って感じ。

期待しすぎてたか。

キャスティングに60点。

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