オカマに涙というもの
2005年10月31日 映画
俺の琴線にふれまくる映画をつくる憎いあんちくしょう犬童一心の最新作「メゾン・ド・ヒミコ」を観る。
平凡なOL沙織は貧乏のどん底にいた。ある雨の日、彼女のもとに若くて美しい男が訪ねてくる。名前は岸本春彦。彼は沙織が幼い頃に沙織と母親を捨てて出て行った父の恋人だった....
という公式サイトのまくらは我々の下世話な好奇心を見透かされてる気がしないでもない。事実、沙織=柴崎コウ、春彦=オダギリジョーというキャスティングもターゲットがあからさま過ぎてちょっと恥ずかしくなるほどである。
しかし、さすが犬童一心。この題材をリアルかつファンタジック料理し、普遍的な愛の形を見せつけることに成功している。
この映画、本物のゲイの方々にはすこぶる評判が悪いそうな。
「ジョゼと虎と魚たち」でも一部障害者の方々からクレームがあったそうだが、マイノリティが他と違うことを身をもって体感してる連中が今さら映画の描写ひとつでやいのやいの言うのはなんでかなー?っていつも思う。「これは嘘だ!こんなヤツはいない!」とおとぎ話に対して声高々に叫ぶことでアイデンティティーを確立したいのか。テリトリーを侵されることへの反抗心か?
ともかくヒステリックに喚くことこそ内なるみっともなさをさらけ出すことになるので注意が必要である。まぁ俺にも同じように言えることだけど。
さて、この映画、老いと性をテーマとして語られてるが(だからこそゲイの人たちがかみつくのだろうけど)裏テーマは”相容れないモノへの愛”である。ゲイのじじぃ達はキショい。その娘もそれを愛するという若い男も、醜悪なくらいキショい。
でも映画を観てるうちに内面の美しさというか愛らしさが溢れてきてもう釘付けになる。そして涙を流してしまうのだ。
そしてエンディング。
犬童一心「ジョゼ...」の珠玉なエンディングの更に上をいくすんばらしいラストを用意しやがった。そうなのだ、彼の作品は”日常”を強く意識させる。映画は終わりだけどキャラクターにはまた明日がある、そんな余韻を残すエピローグであった。
幸せってやつはプラマイでちょいプラスのこと、という当たり前のことを気付かせてくれる良作でありました。
柴崎コウって上手いのね。ちょっとびっくりした。
88点
いかんなぁ....”泣き”映画ばっかり観てるから涙腺ゆるい気がする...
平凡なOL沙織は貧乏のどん底にいた。ある雨の日、彼女のもとに若くて美しい男が訪ねてくる。名前は岸本春彦。彼は沙織が幼い頃に沙織と母親を捨てて出て行った父の恋人だった....
という公式サイトのまくらは我々の下世話な好奇心を見透かされてる気がしないでもない。事実、沙織=柴崎コウ、春彦=オダギリジョーというキャスティングもターゲットがあからさま過ぎてちょっと恥ずかしくなるほどである。
しかし、さすが犬童一心。この題材をリアルかつファンタジック料理し、普遍的な愛の形を見せつけることに成功している。
この映画、本物のゲイの方々にはすこぶる評判が悪いそうな。
「ジョゼと虎と魚たち」でも一部障害者の方々からクレームがあったそうだが、マイノリティが他と違うことを身をもって体感してる連中が今さら映画の描写ひとつでやいのやいの言うのはなんでかなー?っていつも思う。「これは嘘だ!こんなヤツはいない!」とおとぎ話に対して声高々に叫ぶことでアイデンティティーを確立したいのか。テリトリーを侵されることへの反抗心か?
ともかくヒステリックに喚くことこそ内なるみっともなさをさらけ出すことになるので注意が必要である。まぁ俺にも同じように言えることだけど。
さて、この映画、老いと性をテーマとして語られてるが(だからこそゲイの人たちがかみつくのだろうけど)裏テーマは”相容れないモノへの愛”である。ゲイのじじぃ達はキショい。その娘もそれを愛するという若い男も、醜悪なくらいキショい。
でも映画を観てるうちに内面の美しさというか愛らしさが溢れてきてもう釘付けになる。そして涙を流してしまうのだ。
そしてエンディング。
犬童一心「ジョゼ...」の珠玉なエンディングの更に上をいくすんばらしいラストを用意しやがった。そうなのだ、彼の作品は”日常”を強く意識させる。映画は終わりだけどキャラクターにはまた明日がある、そんな余韻を残すエピローグであった。
幸せってやつはプラマイでちょいプラスのこと、という当たり前のことを気付かせてくれる良作でありました。
柴崎コウって上手いのね。ちょっとびっくりした。
88点
いかんなぁ....”泣き”映画ばっかり観てるから涙腺ゆるい気がする...