すごい西川さんの映画というもの
「ゆれる」鑑賞

母の一周忌の為に帰省した弟の猛は、実家で兄の稔が経営するGSで幼なじみの智恵子と再会する。久々に会った3人は渓谷に遊びにいくことになるのだが、そこに掛かる吊り橋の上から智恵子が落下し亡くなってしまう。その一部始終を見た弟猛、そして傍らにいた稔...事件か?事故か?兄弟の間で揺れ動く感情が思わぬ展開を呼び込むのだった.....

最近、映画の点数が甘いなぁと思う、俺。
これはひとえに観てるときの感情や精神状態によって目の前の映画の良し悪しが左右されちゃってるってことだろう。
後から観たら「さほどでもないんじゃねぇの?」と思ったりしてな。とまぁ人の記憶なんてものはいい加減で調子よくできてるってことだ。

とまぁ軽くネタバレも挟みながら(笑)書くが、この映画、ハッキリ言って今年度邦画部門の最高傑作であると断言しよう。シネカノン配給ということで公開されてるハコは少ないしDVDも生産数は少ないだろう。でも、絶対観るべき映画だ。

なにがすごいってまず脚本。「羅生門」を彷彿とさせる真実と虚実の紡ぎ方と、観た者の評価が真っ二つに分かれるだろう深いエンディングまで寸分の隙もなくみっちり詰まった感は近年希にみる出来ではなかろーか?
そしてその素晴らしい脚本を作った監督西川美和女史の凄さも忘れてはならない。
女流映画監督といえばジェーン・カンピオンやペニー・マーシャルが有名だが、概ね女性らしい柔らかさや優しさ、色香を前面に押し出す場合が多いように思う。
んが、西川監督は重厚で野太い演出で人、家族の業を描ききった。女だから男だからという区分けも失礼だが、とにかく凄いと思う。

そして主演のオダギリジョーと香川照之の素晴らしいこと!
性格が正反対の兄弟が進行と共に近づき交わりそして離れていく心情を鬼気迫る演技でやってのけた。オダギリはまぁハマり役だったと思うが香川はちょっと見直しちゃった。
すげぇ。

ともかく上質なサスペンスをお求めの御仁には自信もっておすすめできる映画である。
おすぎの勧める映画は大嫌いだったがこれはよかった。
俺アカデミー賞最右翼だな。

90点

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