五千打感謝

ずっと観てみたくてしょうがなかった映画「ボーリング・フォー・コロンバイン」を観ることが出来た。
シネコン乱立で市内に劇場が18こもあるにも関わらず、みんなメジャー配給のクソ面白くない映画しか上映しないのでDVDでの観賞となったが、まぁよしとしましょう。
期待してた映画は大概ハズレなことが多いのだけど、これは違った。久々の力作、骨のあるドキュメンタリー。2度も観てしまった。

マイケル・ムーアをはじめて知ったのは恥ずかしながら今年に入ってから。書店に並ぶ「アホでマヌケなアメリカ白人」を読んでからだ。
この本自体は先の大統領選で共和党陣営がいかに汚い手をつかってジョージ・ブッシュを大統領にしたかを書いたもので、多少行き過ぎな部分も感じられたが、「こんなのが大統領でマジで大丈夫か?」というのはイラク侵攻を待たずして感じることができたので買って損はなかった。その本の帯にこの映画のアナウンスがあったのだ。

1999年4月20日、コロンバイン高校での「トレンチコートマフィア乱射事件」はなぜ起こったのかということをベースに米国の抱える病理をするどくえぐりだしている。
外国人(日本人)が観ても米国の歴史がよくわかるようにできているが、こんなのがアカデミーの特別賞になるなんてもしかして米国国民も自分の歴史を知らないのかもしれない。

10数名の命を奪い、自ら自殺した乱射事件の原因はなにか?
家庭崩壊か?貧困か?暴力的な映画やゲームか?
米国のケタ違いの銃犯罪は取材中に起きてしまった6歳児の犯罪者をも生み出すことになる。
「トレンチコートマフィア乱射事件」の真犯人(?)とされたMMはこう答える。「恐ろしいニュースを流したかと思うと、次の瞬間にはコマーシャルが流れ、消費を呼びかける。メディアは恐怖と消費との一大キャンペーンを作りあげている。消費へと向かわせるために、人々に恐怖を与える。その恐怖心が人を銃に向かわせる」
一番わかってるのは彼だった。
そして乱射事件当日、米軍がコソボにおいて大規模な空爆を行い5千人の民間人を殺したことや、米国政府が、イラク、ベトナム、チリ、等にアメリカに奉仕する独裁者を作り上げるための戦争を行い、無差別殺戮を行ない続けてきた事実は報道されない....

正義や自由ってなんだ?! 俺達の敵ってだれなんだ?
更正プログラムという名の奴隷制度と民主主義という名の侵略、結局米国は独立以来全然かわってないんだよ、ということをマイケル・ムーアは的確に、そして明瞭に画面に映してくれる。そしてこう投げかける
「なあ、俺たちはいつになったら、自分自身を偽ることをやめるんだ?」

楽しく、悲しく、怒りがこみ上げる映画であった。95点。

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久方の 月夜は清み 萩の花
 ベビーパールを 背中から咬む

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