オトナの恋愛映画というもの
2004年5月5日 映画
「世界の中心で、愛をさけぶ」が売れているらしい。
純文学では異例のヒットと聞く。売れるきっかけとなった帯原稿を書いた柴咲コウがそのまま映画に出演してるらしいが、「黄泉がえり」を早送りで見切った俺は一生観ることのない映画のひとつだろう。長澤まさみちゃんは好きだけど。
だいたいだな、少女漫画を読む女子中高生ならいざ知らず、こんな薄いストーリーテリングで泣けるってのはオトナとしてどーなのよ?
思い出し泣きしながら俺にすすめるTくん、みっともないからヤメなさい。
ではオトナの恋愛映画ってナニよ?
と、問われることだろうが今回はコレをオススメしておきたい。
「火星のカノン」
三十路前の独身娘と四十過ぎの妻帯者の不倫物語である。
.....って書いてしまうともうなんてこたーないありきたりのハナシだのだが、もうね、丁寧なんですよ、作りが。
カメラ、台詞、小物から俳優さんの演技が厚い。
主演の久野真紀子、小日向文世(♂)の年相応のエロさと憂いはもうそれだけで充分全国区で看板を背負えるほどだし、もうひとりの主役、中村麻美の真っ直ぐな(だけどどこかヒネてる)恋愛表現も愛らしくそして哀しい。
監督は風間志織、女性監督というと、どーしても女であることを表に出す演出をしがちなんだが、この人は女々しい部分を余すことなく描きながらそれでいて自己主張のない普遍的な恋愛をスクリーンに映す。これ、実は凄いことで、絶対不倫を経験した人でないとわからない(笑)台詞や行動がまんま普通に書かれてたりするんだよな。
絹子(久野真紀子)と公平(小日向文世)の逢瀬のやりかた、温泉旅行での絹子の台詞、冷蔵庫前で独り泣くシーン、聖(中村麻美)が二人を別れさせるために立てる作戦、等々....
一番笑ったのが聖が公平に別れを迫ったときの公平の台詞
「だって君には彼女をイカせられないだろ」
あーーー監督!オトコをわかってるねぇ!と膝を叩いた。
オトコは彼女をイカせたいものなのだ。つーか、それこそが至上の命題といっても過言ではない。なんでか?と言われてもよくわからんが(笑)、そうと信じてるオトコの口にする台詞が公平の言葉なのだな。
さて、聖が公平と絹子を別れさせようと奮闘するのには正義感だけじゃなくもうひとつ大きな理由があるのだが、それがまた物語に幅を持たせている。現実主義の映画のなかの唯一嘘臭い部分ではあるのだが、それこそ映画の醍醐味。この映画を哀しいファンタジーに仕立てる要因になっている。
エンディングで絹子が見た夢。目が覚めたとき、傍にいる聖に言う一言。
切なくて泣いてしまうけど、俺は誰がなんと言おうとこれはハッピーエンドであると言い切りたい。
報われない気持ちが苦しくてどうしようもないとき、こういう幕引きもあるということを知ってるだけでもちょっとラクになれるかもしれない。
86点
純文学では異例のヒットと聞く。売れるきっかけとなった帯原稿を書いた柴咲コウがそのまま映画に出演してるらしいが、「黄泉がえり」を早送りで見切った俺は一生観ることのない映画のひとつだろう。長澤まさみちゃんは好きだけど。
だいたいだな、少女漫画を読む女子中高生ならいざ知らず、こんな薄いストーリーテリングで泣けるってのはオトナとしてどーなのよ?
思い出し泣きしながら俺にすすめるTくん、みっともないからヤメなさい。
ではオトナの恋愛映画ってナニよ?
と、問われることだろうが今回はコレをオススメしておきたい。
「火星のカノン」
三十路前の独身娘と四十過ぎの妻帯者の不倫物語である。
.....って書いてしまうともうなんてこたーないありきたりのハナシだのだが、もうね、丁寧なんですよ、作りが。
カメラ、台詞、小物から俳優さんの演技が厚い。
主演の久野真紀子、小日向文世(♂)の年相応のエロさと憂いはもうそれだけで充分全国区で看板を背負えるほどだし、もうひとりの主役、中村麻美の真っ直ぐな(だけどどこかヒネてる)恋愛表現も愛らしくそして哀しい。
監督は風間志織、女性監督というと、どーしても女であることを表に出す演出をしがちなんだが、この人は女々しい部分を余すことなく描きながらそれでいて自己主張のない普遍的な恋愛をスクリーンに映す。これ、実は凄いことで、絶対不倫を経験した人でないとわからない(笑)台詞や行動がまんま普通に書かれてたりするんだよな。
絹子(久野真紀子)と公平(小日向文世)の逢瀬のやりかた、温泉旅行での絹子の台詞、冷蔵庫前で独り泣くシーン、聖(中村麻美)が二人を別れさせるために立てる作戦、等々....
一番笑ったのが聖が公平に別れを迫ったときの公平の台詞
「だって君には彼女をイカせられないだろ」
あーーー監督!オトコをわかってるねぇ!と膝を叩いた。
オトコは彼女をイカせたいものなのだ。つーか、それこそが至上の命題といっても過言ではない。なんでか?と言われてもよくわからんが(笑)、そうと信じてるオトコの口にする台詞が公平の言葉なのだな。
さて、聖が公平と絹子を別れさせようと奮闘するのには正義感だけじゃなくもうひとつ大きな理由があるのだが、それがまた物語に幅を持たせている。現実主義の映画のなかの唯一嘘臭い部分ではあるのだが、それこそ映画の醍醐味。この映画を哀しいファンタジーに仕立てる要因になっている。
エンディングで絹子が見た夢。目が覚めたとき、傍にいる聖に言う一言。
切なくて泣いてしまうけど、俺は誰がなんと言おうとこれはハッピーエンドであると言い切りたい。
報われない気持ちが苦しくてどうしようもないとき、こういう幕引きもあるということを知ってるだけでもちょっとラクになれるかもしれない。
86点