たっぷりとしたクッションのシートに深く腰掛けて大きな画面とすばらしい音響に囲まれて至福な時間を過ごすこと、これが高い金を払ってシアターで観る大きな理由である。最近では、プラズマだの液晶だの、家庭でも随分とAV環境が良くなってきてはいるが、やっぱりそこは日常なわけでどこか甘えた観方をしてしまうのだ。没頭するためには映画館に参じなければならない。
もっとも最近の映画はフィルムではなくビデオ撮影されてるものが多いので、映画館で観るとピントの甘さとカラーの薄っぺらさが気になってしまって萎えることもあるのだけど。

ということで久々に映画館で観て良かったという作品に出会いました。
「ビック・フィッシュ」
ユアン・マクレガー主演のファンタジー。
昔っからほら話が好きだったエドワード、息子ウィルはそんな父親信じてはなかった。成人したウィルは次第に父親とも疎遠になるのだが、父病状悪化の知らせを受け、ウィルは妊娠中の妻を伴って勤務地のパリからアメリカ南部の実家へと急ぐ。
病床に横たわるエドワードは昔のようにウィルに語りかける。シャム双生児の話、大男の話、サーカスの話.....
真実とはなにか?人生とは?父子とは?
ひとりの男の終焉を通じひとつの答えを見つけることが出来る一大叙情詩、傑作である。
あれだ。ティム・バートンそのもの。
「ビートルジュース」「シザーハンズ」「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」と続くバートンワールドの集大成である。彼はこの映画を作る為に監督になったといっても過言ではない。

はじめはスピルバーグを迎えるという話があったそうだ。大正解、スピルバーグではこの世界観を作り上げることはできなかっただろう、良くも悪くも優等生すぎて。
パンフを観ると「猿の惑星」のスタッフそのままで作ったのね。
いやーあんな駄作の後で良く金を出す人間がいたものだ。余程の酔狂か先見の明がある人間だろう。

とにかく!
本年度俺がみた映画、ビデオの中では最高である。
「クレしんオトナ帝国の逆襲」「フィールド・オブ・ドリームス」と共に父子映画の殿堂入り決定。
94点。

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