斜陽期をとっくに過ぎ、ジリ貧だった80年代邦画業界。
ATGが商用主義に走り( http://diarynote.jp/d/38325/20040911.html 参照)テレビ屋が幅をきかせはじめ、東映はVシネマ&極妻、松竹は「男はつらいよ」のみで食いつなぎ、角川がメディアミックス戦略で台頭してきたそんな時代だった。
唯一好調だったのは東宝である。「ドラえもん」「ルパン三世」などのメジャーアニメ、「マルサの女」「タンポポ」などの主立った伊丹十三作品、「私をスキーに連れてって」などのお気軽ホイチョイ作品等々、確実にヒット作を重ね、現在の王者東宝の礎を築くことになる。
しかしアニメ部門は未だ群雄割拠だった。
東宝には前述の「ドラえもん」があり、松竹には「ガンダム」があり、東映にはあの「天空の城ラピュタ」があった。
ということで今回は俺が唯一手放しで絶賛したいジブリアニメ「天空の城ラピュタ」である。

宮崎アニメにはいくつかお約束があって、ひとつは空を意識した三次元的空間作りであり、もうひとつは純真無垢な少女が出てくるということだ。(有機的なメカが必須、というのもある)
「カリオストロの城」からこっち、物理的に「高い!」と観客に意識させる絵作りは他の追随を許さない。そういう意味では宮崎駿は天才といっても差し支えないだろう。
また、シータが少女である理由、パズーとのカラミ等々は素直に初々しく感じることが出来、「男の子が女の子を助ける冒険活劇」として説得力がある。もうムスカみたいに腹黒くなっちゃった俺が観てもキュンとしちゃうもんな。
声優陣も大御所田中真弓&よこざわけい子@ドラミちゃんのダブルネームで違和感なし、プロットもストーリーも隙がない。テーマソングのなんと神々しいことよ!!
はっきり言ってジブリ作品の中でこれを超えるものはない。

...と手放しで褒めちゃうのはこれ以降の宮崎アニメの変質によるところが大きいのだ。
いや、個人の性癖や思想は問いませんよ。面白い映画を作ってくれたら。
ところが後の作品は宮崎(あるいは高畠をはじめとしたジブリスタッフ)のロリコン純血主義と左翼思想を吐き出すだけのプロパガンダ作品となってしまった。パトロン徳間と日テレの慰みモノを観るために高い金を払わせるっつーのは如何なモノか?作る気がないならもう作るな!

そういう意味では貴重な一本。でもDVDは買わない。今のジブリを儲けさす気にゃーなれんしな。

99点

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